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木曜ドラマ「アライブがん専門医のカルテ」から。木下ほうかさんが説明するグリーフケア

画像の出典:フジテレビ https://www.fujitv.co.jp/alive/ 「アライブ がん専門医のカルテ」より。
アイキャッチ画像はテレビ画面を直接撮影したものです。画像が荒くてすみません。

あなたもまた悲しみを抱える一人の人間

「医者も母も人。そんなに強くないんじゃないかな。一人で立ち直ろうとしなくったっていいんだよ。」

2020年1月30日(木)放送の「アライブ がん専門医のカルテ」第4話から。

あまり書いてしまうとネタバレになりますので控えたいところですが、興味のある方は公式サイトから見逃し配信が見れますので、ぜひご覧になってください。

今回は「グリーフケア」がテーマになっていました木下ほうかさん演じる阿久津医師と松下奈緒さん演じる恩田心。阿久津医師から心先生へのグリーフケアを説明する場面。心先生はグリーフケアについてすでに知っているということが読み取ることができました。

この場面はグリーフに陥っている心先生にケアの対象として話しているというよりは、一人の人間として、あなたのことを大切に思っているのですよという阿久津先生の優しい思いが伝わってきた場面でもありました。

医療になじみのない一般の人にとっても「グリーフケア」を知ってもらうきっかけになればいいなと思いました。

背景

松下奈緒演じる主人公 恩田心は腫瘍内科医。

小学生の息子と夫の3人暮らし。夫 匠が事故に遭い、意識不明の状態が数か月続いていたが亡くなります。

匠の入院中、心は仕事の帰りに病室に立ち寄り、夕飯の用意や息子の子守りを北大路欣也演じる義父が手伝っていました。

しかしその義父も、息子を失ったことでうつ状態になり、心もまた「私がしっかりしないと」と気を張っていました。

 

心先生の変化

これまでの放送では、治療や手術といった方向に無理に誘導させるという態度ではなく、目の前の患者さんが本当に望んでいることを大事にし寄り添っていこうとする態度で接していました。

「治る治らないじゃないんです。腫瘍内科医は患者さんの人生に寄り添うのが仕事」(第1話より)

この言葉からもわかります。

しかし夫が亡くなった後の心先生は、自分でも無意識にそれまでとは違った態度で患者さんたちに接してしまいます。

「本当に心先生?」

「患者じゃなくて病気見てる」

以前は「患者さんその人」として、一人の人間として誠実に対応していた心先生ですが、自身もグリーフを抱えることになり、患者さんの顔を見る余裕もなくなり病状についてのみ話す様子。ただただ業務をこなすだけ、という風な態度をとってしまいます。

そんな普段とは異なる心の姿に違和感を覚える同僚や患者たち。

木下ほうかさん演じる上司の 阿久津医師は、心に悲しみに向き合うことの大切さ、また悲しみは取り除くことができないということを話します。

 

親しい人の死は人生最大のストレスなんだ。

乗り越えることは簡単なことじゃない。

心や体にさまざまな症状があらわれることがある。

最悪の場合、自ら命を絶つことだってね・・・。

 

グリーフケアとは大切な人を亡くした人が立ち直ることができるようサポートをする取り組みのことです。

大事なことは一方的にはげますのではなく悲しみに寄り添うことです。もちろん専門の先生を頼ることも大事です。

でも、それができるのはやはり家族や友人だと私は思います。

 

では大切な人を亡くした日常を受け入れるためにはどんなことが必要なのでしょうか。

大事なポイントが3つあるんです。

その1、悲しみを肯定する。

悲しむことは自然な感情だと教えてあげてください。特に男性は悲しんでいる姿を人に見せたがりませんから状況が悪化しやすいんです。

 

その2、悲しみを表現させる。

悲しみをうまく表現できない人には、特に重要です。

亡くなった人の話をしたり、思い出の品を手元に置いて、感情を吐き出させてあげてください。

悲しむ行為は立ち直るための大切なプロセスです。

では最後、その3、儀式を行う。

葬儀やお別れの会は死を受け入れるきっかけになります。人は昔からそうやって親しい人の死を乗り越えてきました。

以上になります。

 

それは君自身にもあてはまることなんだよ。

医師だから、母親だからと自分にそう言い聞かせて悲しみに耐えようとしているんじゃないかな。

医者も母も人。そんなに強くないんじゃないかな。

一人で立ち直ろうとしなくったっていいんだよ。

だって先生には悲しみを共有できる家族がいるもん。

誰にも悲しみを取り除くことなんて、そもそもできやしない。

でも、家族となら一緒に悲しむことができる。

ね、しばらく無理しないでゆっくりと休みなさい。

 

阿久津先生の話を聴きながら、最初は「支える側」として自分の態度を顧み、義父に対して間違ったことをしてしまったという思いがよぎったようです。

しかし、阿久津先生が直接心先生に語りかける言葉から、自身もまた悲しみを抱える「当事者」だということにはっとするのですね。

 

悲しんでいいんです。

悲しみを取り除くことはできない。

悲しみを共有する家族がいるのであれば、一緒に悲しむことができる。

木下ほうかさん演じる阿久津先生の言葉には、グリーフケアで大切なことがぎゅっと凝縮されています。

グリーフケアはもちろん専門家に頼ることも時には必要ですが、普段の人間関係の中で、自然に行ってきたことでもあるのですね。

現代社会ではその人間関係が薄くなってきていることもあり、病院や遺族会でのグリーフケアの必要性が叫ばれていますが、人の死というのは生きていれば避けられないこと。

誰もが直面する「大切な人の死」。それによってグリーフ(悲嘆)に陥ることは当たり前のこと。

悲しみを共有できる家族がいる場合は、お互いに悲しみを吐露するということの大切さを阿久津先生が言ってくれたことはとても良かったのではないかと思いました。

実際は家族と共有できない、共有する家族がいないという方もいます。

家族だからといってみんながみんな仲がいいわけではありません。

わかってくれない悩みを持つ人や、心配かけたくないから家族には言えないという人もいます。

そのような場合は友人や職場の同僚が支えてくれたということも聞きます。

 

腫瘍内科医というがん患者さんに寄り添う職業

患者さんはがんという深刻な病状の方ばかりなので、ドラマを通して視聴者もまた必然的に「スピリチュアルペイン」に向き合うことになります。

自分にとって人生で何が大事なのか。これからいかに生きていくのか。

がんを患った自分が誰かのためにできることはないのか。

自分がもっと自分らしく生きていくには、どのような決断をしたらいいのか。

同じがん患者の仲間が亡くなり、その人の残していった思いをひしひしを感じ、それを受け継いでつなげていきたいという思いを抱く人。

感性が敏感になり、医療者の抱える苦悩まで見抜いてしまう人。

主人公自身も配偶者が亡くなるという死別を体験。義父にとっては息子であり、心の息子にとっては父親が亡くなったことになります。

人間一人が亡くなるということはその人を取り巻いていた家族、友人皆悲しみに暮れることになります。

死別という辛すぎる現実を抱えつつも、生活は続いていくわけで、本当に大変な思いを抱えながら、残された人たち同士で支えあいながら時には傷つけあうこともあるかもしれませんが、生きていかなければなりません。

 

ストーリーをご覧になりたい方はこちらフジテレビの公式サイトよりどうぞ。

患者会や遺族会はいったいどんなところなのか知りたいという方に向けて書いてみました。

読んでくださりありがとうございました。

 

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