気づいてないけど、心の底で感じている「辛い」という本心を拾いあげられ、癒された

聴き手の共感力。

私の体験ですが

3人目の子を死産した際、

自分自身の生死も危なくて家族が駆け付けたりと大変でした。

その時に最も強く感じたことは

自分は今まで愛されてきて、こんなに多くの人に支えられて生きてきたんだということ。

 

感謝の念と、家族に対するいとおしさを感じていました。

そんな中赤ちゃんのことも、

亡くなるという「生き方」を通して

私たち残されたものに贈りものをしてくれているんだ

どんなに短いいのちであっても

意味があって、その子なりの使命があって生まれてきたんだということを感じました。

 

入院して意識が戻ってからは

辛いという気持ちよりもむしろ平安な気持ちが心を占めておりました。

そんな中、ある医療者のかたが

私のふところにすっと入ってきて癒される体験をしたのです。

その日は私の意識状態も変で

今思うと瞑想状態と普通の状態を自動的に行ったり来たりしていたと思うのですが

その方と向き合うとますます瞑想状態のように

心の深いところが表面に現れるようでした。

 

ほんの数分間の出来事でしたが

「辛かったね」という一言で入院後初めて赤ちゃんのことで泣けたのです。

 

自分ではそれまで辛いというよりも

人生に対する感謝の念が心を占めていたので

気が付いていませんでしたが、

やっぱり心の中には

赤ちゃんを失った悲しみがあり、

その悲しみをすっと拾い上げてくださったのです。

 

あの時、その医療者の意識も私の意識と同調というか共感というか

共鳴といったらいいのでしょうか

まさに「鏡」になってくれたおかげで

自分では気づかなかった悲しみがどっとあふれ出し、

涙を流すことができました。

 

その人と過ごした数分間は本当に不思議で

その日一日確かに意識が変だったのですが、

しゃべろうと思っていなかったことまで

べらべらとしゃべってしまいました。

 

頭では「あれ?」と思いつつ

口が勝手にしゃべっている感覚です。

 

心の深いところの対話をしている時は

知的にそれを「記憶」するとか

頭脳でどうのこうのという「思考」する作業は

薄くなっていたみたいでどんなことを話したのか思い出したり、

その方の話を理解するのが普段よりもしにくかったように思います。

 

これは今でも深い話をしている時に体験します。

頭脳で行う「思考」「記憶」「情報」の部分の働きが鈍くなり、

「感覚」「感情」が鋭くなるのです。

 

遺族の分かち合いでも

割りあいうまく進行したという時は

後の反省会の時にどんな話の内容だったのか

思い出すのが大変です。

 

頭脳の働きが抑えられて感性の働きが研ぎ澄まされるのでしょう。

 

 

話を戻します。ほんの数分間でしたかたくさん泣いて

そしてものすごく癒されたのです。

 

こんなことがあるのかと。

 

辛いという気持ちを引き出してもらって

泣かせてもらって、寄り添ってもらって

そしてすごく幸せな癒された感覚になるなんて。

 

それまでは「泣いたら余計に辛くなる」という

無意識に抱いている先入観があったのだと思います。

 

「泣いたら辛くなる」という予想を

「泣いたら癒される」ということで見事に裏切る体験だったのです。

 

泣くと心配されるから無意識に隠そうとしていたのかもしれませんが、

自分でも認識していなかった本心を

認めることができたのは

その方が「スッと」心の中に入ってきてくれたからです。

 

このように誰かが本当に心の底から

自分の感じている気持ちに共感し、寄り添ってくれる場合は

辛い気持ちは消えはしないものの

心の深み、存在の深みから癒されるということが起こるのでしょう。

 

ありのままの自分を受けとめてもらう体験が

いかにその人の支えになるかということです。

 

私は当時のこの不思議と癒された体験がきっかけになり

今はケア提供者として活動しているのですが

目の前にいる人の心に「スッと」入っていくには

実はものすごい覚悟がいります。

 

多くの人は、辛く悲嘆に暮れている人を目の前にしても

どうすればいいかわからず声をかけることも難しいと感じていることでしょうし、

何かしなければという考えから余計な慰めやアドバイスをして

逆に傷つけてしまうこともあります。

 

そのような対応をしないため、

目の前にいる人に覚悟をもって関わるために

私も定期的にトレーニングを受けています。

 

苦しみ悲しみを抱えていて、誰かに気持ちを聴いてもらうことはとても大切で

そうすることによって少しずつ少しずつ心が軽くなり、

癒されていきます。

 

心に大きな傷を負っている場合

長い年月がかかるかもしれませんが、

それでも力のあるケア提供者に寄り添ってもらい、

ありのままの自分を受け止めてもらう体験を通して

悲しみ苦しみを抱えながらも

ずいぶんと生きやすく変化していくことでしょう。

 

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