生きづらさを抱えた状態
生きづらいというのは、①自分の期待通りにいかないということであったり、
②人付き合いが苦手でいつも我慢ばかりして本音ではなく建て前でコミュニケーションしてしまうといった理由があります。
①の自分の期待通りにいかないということは、出来事自体をコントロールすることはできませんが、その出来事に対する受け取り方は、その後自分を内省したりということで年月が経てば解釈も変わることがあります。
大きな出来事を体験し、いろいろと考えを巡らせた結果物の考え方や価値観の変容、ビリーフの変容が起こり、以前であれば受け止めきれなかったと思われることも、新たに体験すると今度はまた違ったように受け止めることができ、自身の成長を実感することがあります。PTG(心的外傷後成長)とも呼ばれていますね。
②人付き合いが苦手でいつも我慢ばかりして本音ではなく建て前でコミュニケーションしてしまう、それが習慣化する知らず知らずのうちに我慢が自分の中にたまりこみ、精神や身体の病気として現れたり、人間関係での変な行動として現れたりします。
NPO法人虐待問題研究所では「コミュニケーションアドバイザー講座」の講師もさせていただいておりますが、
双方うまくいくコミュニケーションとは、自分も大切に、他者も大切にできるということです。
自分の気持ちを正直に伝えられる、他者の気持ちも「そうなんだ、あなたはそう思うのね」と受け止められる。
他者の気持ちを受け止めるには、まず土台として自分の気持ちを受け止めることです。
私たちは他者からどう思われるかを気にしたり、親の考え、社会の考えの方が自分よりも正しいと教えられていることが多く、「本当はこう感じている」という気持ちを出しづらくなっていきます。
本当は活発で人を笑わせることが大好きなのに、「ふざけてばかりいてはダメ」と言われ続けたら自分の面白さを出しづらくなってしまいますし、
本当は感受性が鋭く繊細な気質なのに「辛くても泣いてはだめ」と言われ続けることで、本当の気持ちを抑え我慢ばかりする性格、人前ではしっかり者を装うような性格になるかもしれません、
自分ばかりが親の手伝いをやったり、下の子の面倒を見るような環境で甘えたくても甘えられずにいたら、大人になってから人に助けてもらっている人を見て怒りの感情や「自分ひとりでやるべきだ」など裁きの心を感じるようになるかもしれません。
持って生まれた気質や、発達段階で生じる欲求を受け入れる
生きづらさにつながるというのは、生まれつき持っていた気質を否定され、それを出せない状況にあったり、幼少期の発達段階でクリアしなければいけない欲求、(たとえば「かまってほしい」「甘えたい」「探求したい」「自分で何でも挑戦したい」など)満たされていなかったりして自分の中に不満や我慢がたまっている状態です。
ありのままの自分を出したいという心の深いところの欲求があっても、長年否定され続けてきたのでそれができなくなっているのです。
人の性格というのは生まれ持った気質の周りに、環境に合わせた性格がのっかっています。
ざっくりですが
「生まれ持った気質」
「環境が原因の性格」
「社会的な性格」
という風に一人の性格といっても核になる気質があり、その周りを環境による性格や社会的な性格が取り巻いています。
元の気質をベースに、それを生かしたような形で回りの性格が形成されていれば比較的生きづらさは感じにくいのだと思います。
しかし、元の気質を否定し、別の性格になるような育てられ方をした場合は、気質とそれを取り巻く性格のずれが大きくなり、生きづらさにつながるのだと思います。
本来の素の自分を抑えているので、生きづらくなって当たり前です。
本来の自分を抑えて周りに合わせ始めた時期が早いほど、このことに気が付きにくいですし、気が付いて頭で理解できても、あまりに小さい時期から別の性格でやってきており、それが習慣になっているので素の自分を取り戻すにはかなりの労力を伴います。
元の気質とはかけ離れた性格が習慣化していても、やはりそれは本来の自分とは違うわけで、違和感も感じますし生きづらさを感じるのは当然です。
人によっては心の奥底で生きづらさを抱えているにも関わらず、心の声を無視してきた結果自分の本心にすら気づかなくなっている場合があります。
そのような場合は本質の声、たましいの声が身体や精神の症状となって現れ、どうにかして本来の自分を取り戻すよう「ホメオスタシス」が働くこともあります。
精神的な症状や身体的な症状が現れたり、人間関係のトラブルなどの行動に現れたりします。
本来の自分を取り戻そう。自分の気質に気づく方法
気質を探るツールの一つに「エニアグラム」があります。
私の場合、最初に調べたのは2012年です。その時はタイプ5でしたがスピリチュアルケアのトレーニングをしたり、内省をしたりして自分を探っていった結果、数年後には別のタイプではないかということになりました。
環境によって作り出された性格がそのまま自分の気質だと思っていたのです。2012年時点では。2007年の生死をさまよった際に抱えていた思い込みが外れてだいぶ「軽く」はなりましたが、まだ軽くなる余地があったのですね。
人間は本来「素の自分」でいるだけで自分も満ち足り、他者にとってもそれが癒しになります。
無理せずに振舞えるというのはとてもらくですね。
記事に関連する本を載せておきます。
9つの性格 エニアグラムで見つかる「本当の自分」と最良の人間関係 (PHP文庫)
本来の自分が戻ってくるとどんな感じになるのか
ありのままの自分、素の自分で過ごしたことが少ないと、一体どんな状態が元の自分なのかわかりにくいですよね。
一言でいうと「今ここ」にらくにいられるということ。
過去の苦しみや未来の不安に心をコントロールされるのではなく、今ここに集中できている状態です。
私の感覚で説明させていただきます。
・我慢することが少なくなる
・自分の気持ちに敏感になり、ネガティブな感情が浮かんでもそれを認められる
・自分を大切だと思える
・他者に対して自然に優しい気持ちを抱ける
・自分を表現しても良いと思える
・人に良く思われたいがための行動を取らなくなる
・気持ちと言動が一致する
・自分と他者を信頼しているからこそ本音が言える
・しんどい時にしんどいと認めることができる
・誰かの期待に従おうというプレッシャーが無くなる
・悪いことが起こったら自分に責任があるのではと思わなくなる
・自分にも他者にも正直に素直になる
・利他的に考えることができる
このような感じでしょうか。
最後の利他的に考えることができるというのは、自然とそうなります。
我慢している状態、自分に制限をかけている状態だと、行為自体は利他的に見えても、動機は利己的だったりすることが多いかと思います。
与えているように見えて「もっともっと欲しい」と自分が求めている状態ですね。
それが本来の自分が戻ってくると、見返りは求めず「もっと他者に与えたい」という風に自然となってきます。
本来の自分を取り戻す方法は、具体的にはカウンセリングセッションや瞑想ということになります。
以上、読んでくださりありがとうございました。