スピリチュアルケア~「周産期のスピリチュアルペイン」生老病死の「生」

不妊治療、流産、出生前診断、人工死産など

スピリチュアルケアの網羅する範囲は、病気などで死の危機にある人だけではありません。

「公認されない悲嘆」すなわち悲しむことを社会で認められていないという悲嘆です。

周産期にまつわる喪失は周囲に打ち明けることも難しく、デリケートな問題でもあります。

人に知られることのあまりない苦しみ、悲しみではありますが、その苦悩はこと自分のたましいと向き合うことでもあります。スピリチュアルペインと呼ばれるたましいの叫びがあります。

このような喪失、悲嘆の存在を知ってもらいたいとの思いから今回取り上げました。

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流産や死産など、赤ちゃんを亡くした人のグリーフケアはここ十数年で医療機関などによっても差はあるものの、広まってきた印象です。

また生まれてきても幸せに育ててあげられない、生命に関わる障害を抱えていることがわかりお別れすることを選ぶという正解のない決断。

子どもが欲しくてもなかなか授からない、出口の見えない苦悩。

生殖補助医療を使って生まれた人の、「自分のアイデンティティがわからない」というスピリチュアルペイン。

子どもを授かっても育てられないという理由で、養子に出すという苦渋の決断。

挙げればきりがないのですが、どれも正解がない。

グリーフケア・スピリチュアルケアでよく言われることですが、問いには2種類あります。

1つは答えのある問い。解決策のある問いです。物理的な原因や、方法が存在するというもの。例えば「どうして私の赤ちゃんは亡くなったの?」という場合、「〇〇という病気が原因です。」という具合。

「情報や理由、解決策が知りたい」という場合は、その答えを持っている専門家が答えることになります

しかし同じ問いでも解決策のない問いというのがあります。

「ほかでもなくどうして私の赤ちゃんなの。どうしてこの子なの。どうしてこんな辛いことが私の身に起きるの?」という問いです。この問いに「〇〇という病気が原因です。」などと情報を言っても「そういうことを訊いているのではない」と思われるでしょう。

また情報や解決策でないにしても、励まそう、元気になってもらおうなどの思いから

「病気のある弱い子だったから良かったじゃない。きっと次は元気な子が来てくれるよ。」

「もっと大きくなって、それこそ3歳とかで死んじゃう子もいるんだからまだマシよ。」

「神様はあなたに耐えられないことは起こさないのよ。あなたがそれだけ耐えることのできる人だから、今は試練の時だと思って。」などと言われたらどう感じるでしょうか。

かける言葉にも正解はありませんが、どうしてそのような言葉を言いたくなったのか、一体それは誰のための言葉になるのか、自己を見つめることが重要なのは言うまでもありません。

同時に男女間のもつれという苦悩を抱える人も

いくつかの団体で活動してきて、またプライベートで年配の方々の話を聴く機会があり、流産や中絶の体験者が結構な割合でいることがわかってきました。

周産期のグリーフケアの分かち合いというと赤ちゃんを亡くして、その悲しみを話すというのがほとんどであり、多くの場合は旦那さんも赤ちゃんを亡くした悲しみを抱えており、夫婦お互いに支え合っているという方々が目立ちます。特に奥さんが旦那さんに抱きしめてもらったりということが普通にあるなど、夫婦間の愛情に恵まれているといっていいでしょう。

しかし中には妊娠中に離婚をしたシングルマザーだったり、妊娠はしたもののパートナーの愛情には恵まれない、不倫をしているという人もいます。また夫の子は不本意ながら中絶をさせられ、同時期に夫の不倫相手が妊娠、出産し無事に育っているという人も。ずっと胸に抱えてきて10年以上経ってようやく言えるという人もいます。

また妻が自分の父親の子を妊娠・出産するという話も聞いたことがあり、その子を育てることになった夫の底知れない苦悩があります。

※断っておきますが上記は会の参加者の話ではありません。守秘義務があり、会の参加者の話は伏せています。

このように、周産期、妊娠・出産にまつわる苦悩にに加え男女間の問題も加わっている場合があり、話を聴く側も偏見や差別、社会的に正しいとされる道徳的な価値観を脇に置いて、ありのままの相手の話によりいかに寄り添えるかということg問われます。

今回も本の紹介をさせていただきます。

こうのとり追って 晩産化時代の妊娠・出産」 晩産化時代の妊娠・出産 毎日新聞取材班

目次

はじめに

1章 まさかの不妊

1 卵子の老化「知らなかった」

2 変わる生き方、変わらぬ体

3 男性に原因も

4 進む晩産、広がる「妊活」

不妊を語る1 太田光代さん

2章

1 「結果」求め病院転々

2 のしかかる負担

3 病気、障害「治療のせい?」

4 終止符いつ

5 体外受精技術にノーベル賞

6 ベルギーの場合 子どもを長期追跡

不妊を語る2 ダイアモンド✡ユカイ 

3章 卵子・精子提供という選択

1 2人の「母」

2 「誰に似たの?」に傷つき

3 出自の告知に衝撃

4 卵子提供、その賛否

不妊を語る3 野田聖子さん

不妊を語る4 吉村泰典さん

4章 出世前診断のいま

1 「異常の可能性」に動揺

2 障害のある子、2人は無理

3 生まれる前に手術

4 長く生きられなくても

5 産んでくれてありがとう

6 重い決断、続く葛藤

7 始まる新型出生前診断

8 イギリスの場合 選ぶ権利を尊重

不妊を語る5 東尾理子さん

5章 不育症の苦しみ

1 「また流産」原因不明6割

2 朝晩の注射で妊娠維持

3 染色体異常が分かっても

4 癒えぬ心の傷

5 悲しみ共有、支え合う

6 治療や通院、かさむ費用

7 血栓予防薬に保険適応

6章 心でつながる親子

1 迎えた養子、育てる喜び

2「娘」からの手紙

3 親子の「お見合い」

4 生後5日で「わが子」に

5 里子とともに、巣立つ日まで

6 本気で叱られ、愛された

連載に寄せられた声

主な支援団体や情報サイト

おわりに

今回も読んでくださりありがとうございました。

最後に癒しの写真をどうぞ。今年の春にグリーフケアの仲間からもらったカードと、数年前に買ったお地蔵さんの置物。

いつも心配りをしてくれるとても魅力にあふれた仲間です。