ケアされることを通してケアすることを学ぶスピリチュアルケアの「グループワーク」

スピリチュアルケアのグループワークが学べる団体

スピリチュアルケアを学ぶにあたり、講義形式の座学もありますが

ケアし、ケアされる体験を通して学ぶグループワークもあります。

私が学んだのは

①上智大学グリーフケア研究所

②臨床スピリチュアルケア協会(PASCH)

です。

②では専門職養成課程に在籍していて、今も定期的に学びを続けています。

以下のHPにはスピリチュアケア学会が認定する学習機関が掲載されています。

スピリチュアルケア学会HP>資格認定>認定機関

団体によって学習内容やグループワークの深度も異なるようです。

 

ほかにもスピリチュアルケアのグループワークと類似しているのが

「エンカウンター」や「T-グループ」と呼ばれるグループワークの訓練があります。

 

以下は私が今まで学んだ上智大学グリーフケア研究所、および臨床スピリチュアルケア協会でのグループワークについてです。

スピリチュアルケアのグループワーク「生育歴」ほか

①上智大学グリーフケア研究所

私が学んだのは2012年なので今はこの時からだいぶ変わっているかもしれません。

最初のグループワークの課題は

1)今までの人生で5番目くらいに辛かったことで、心の中で折り合いがついていることを語る

2)家族の中から一人を選び、その人のついて語る

3)生育歴の語り(事前課題として8000字のレポート提出)

回を追うに従い、トピックが深くなっているのがわかります。

ほか、スピリチュアルケアと隣接領域でもあるゲシュタルト療法のグループワークもありました。

エンプティチェアという技法などを使い、実際の生育歴から心残りの体験を語り、研修生同士やりとりをしました。

※心残りの体験というのは、例えば

「ありがとうと感謝を伝えられなかった」

「過去の怒りの感情をそのままにしてきて今でも不満に思っている」

「あの時こうすればよかったという後悔」などです。

グループワークの進め方

進行役の先生(SV:スーパーバイザー)が二人いて、研修生が6名。

※1)2)はさらに6名がグループの外から学ぶ「観察」の役割があり、

3)は「観察」の役割はありませんでした。

1.1セッションが60分だったか80分だったか忘れましたが、1名の語り手に対し他の人は聴き手となります。

語り手はあらかじめ準備しておいた内容を15分または20分以内で語ります。

用意した原稿を読むのもOKですが、その場の雰囲気に任せて語るのもOKです。

語り終わった後、聴き手が簡単な言葉で一言ずつ「気持ち」「感情」「感覚」を述べます。

「胸が痛くなった」

「温かい気持ちになった」

「〇〇さんに親しみを感じた」

「最初は辛くて涙がでたけど、後半はほっと安心した」

「氷の中に閉じ込められたような感覚を感じた」

「お花畑がふわ~っと広がっているような感覚」

「言葉としては強烈なのに、感情が動かずしんどかった」

「辛い内容なのに笑顔だったので違和感を感じた」

などのようにどういう風に感じたかを述べます。

ここで注意することが「考え」や「感想」、「アドバイス」ではありません。

言葉で表すと区別がつかないこともあるのですが、

このグループワークで大事なのは

「頭の分析」ではなく「感情で感じたことを言う」ということです。

まずは自分がどう感じたか、自分自身の感覚・感情に敏感になるということが一つ。

もう一つはそれを語り手に伝える際に、ちゃんとケアになっている言葉がどうか意識するということ。

 

「お前〇〇やねん!」と傷つけるような言い方をするのではなく、

感じたことを「傷つけたら申し訳ないけど、私は〇〇のように感じた」などのように

相手への配慮もしつつ、正直に述べるということです。

内容への焦点から語りそのものへの焦点へ

聴き手として最初戸惑うのが

自分の心に浮かんだことが頭の分析なのか感情なのかが自分でもよくわからないということです。

よくわからないけれどとりあえず言ってみることで、

仲間や先生からフィードバックや助けがありますので

躊躇せずに言ってみることが大事だと思います。

あくまでトレーニングなので、失敗して学ぶことで力がついてきます。

生育歴の語りでは語り手の話の内容は辛い経験を話すことが多く、

死別や離別、暴力やさまざまな苦労についての内容が多かったように思います。

最初は内容そのものにどうしても意識がひっぱられ

「いやあ、暴力!?痛そう!」

「旦那さん亡くなったの?大変やったろうなあ」

「次から次へと大変!この先どうなるの?」

などと反応してしまうのですが、

グループワークの回を重ねるごとに

上記のような感情を感じている自分を客観的に見ることができるようになり、

また語り手の離す内容についていくのと同時に

その人の心の動き、語りそのものの動きに焦点が当てられるようになってきます。

例えば、「お父さんのことを話す際には表情が硬くなるな」

「堂々とした態度、声がはっきりとクリアで信念が伝わってくる」

「蚊の鳴くような声で、小さく縮こまってしんどそう」

などです。

「今ここ」での関わりの機能不全から抱えているビリーフが浮かび上がる

グループワークでは「今ここ」でどう感じているかということに焦点を当て

それを言葉で伝えるということをします。

(私の場合は上智大学グリーフケア研究所に通っている時はいまいちまだよくわかっていませんでした。

修了後に臨床スピリチュアルケア協会(PASCH)で3回(2018年現在)

1週間の研修を受けてようやくこのグループワークが何なのかがつかめるようになってきました。)

実は普段のコミュニケーションであっても、「今ここ」での関わりのゆがみから

それが一体どういう原因からなのか、

どんな苦しみや制限、ビリーフをこの人は抱えているんだろうか

などといったことが見えてきます。

カウンセリングセッションやこのようなグループワークではそれがより一層濃縮され、

たましいレベルで抱えていることが浮き彫りになります。

例えば、親子関係での課題をずっと抱えてきた人が、このグループワークでまさに

その親子関係の縮図みたいなものがセッションに「転写」されるように

満たされなかった感情や、誰もわかってくれないといった痛みが、

セッションの中で再体験される、といったことが起こります。

グループワークが始まって間もない頃のやり取りは日常生活でのコミュニケーションとさほど変わりないかもしれません。

しかしセッション数を重ねると、感性が鋭くなり「今ここ」での関わりに対してより敏感になってきます。

普段のコミュニケーションでは「ノイズ」も多く混ざっていますが、

自分も他人もたましいレベルで抱えていることがクリアに

実感として感じていることと、発した言葉とのズレに気づくようになってきます。

自分で発した言葉に対してもそうですし、

仲間が発した言葉についても、違和感を感じることが出てきます。

感性や感情に敏感になっていて、

ちゃんと一致した言葉を発している場合は

たましいにダイレクトに届く感じになります。

普段同じことを言われてそこまで揺れなくても

このグループワークでは表面的な取り繕いが無くなり、

心の深いところでのやりとりになるので、

感情も大きく揺れ動きます。

その分、自分の話を受け止めてもらった、一生の仲間ができたと感じることも多いのですが、

同時に傷つきやすい状態とも言えるでしょう。

深いところで、実感レベルで受け止めてもらう体験が「癒し」の体験になります。

お互いにケアし、ケアされるというこの体験が実際の現場で役に立ちます。

(グループワークで癒しの体験が起きると家庭や職場などの人間関係が少し変化したなど不思議なことも起こるようです。)

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