グリーフケアやスピリチュアルケアといった現場にいると
どうしても苦しみ、悲しみに焦点が当たりがちになります。
「大切な人を亡くして、どうしていいかわからない」
「家族が大病を患った」
「自分の余命があと数か月ということがわかった」
「死んだら自分の存在はどうなるのか」
「どうして私だけこんなひどい目にあうのか」
このような「スピリチュアルペイン」と呼ばれるたましいの痛み、たましいの叫びは
当人にとって解決策の見つからない苦しみ、悲しみとなります。
私たちケア提供者と呼ばれる側の人間は
このようなスピリチュアルペインに寄り添えるよう訓練を受けることが普通です。
「・・・お辛かったですね・・・。」
「あまりの衝撃で言葉になりません・・・。」
「あまりに苦しくて、どうしていいかわからないんですね・・・」
正解はないですが、苦しんでいる人にこのような言葉をかける場面が多いかと思います。
ケア提供者は普段から悲しみや苦しみに共感する感度が高いので、痛みに対する対応は多くの人が問題なくできているかもしれません。
一方、タイトルにあるように「喜び」に寄り添うこともスピリチュアルケアです。
相談に見られる方や、お話される方の中には、
悲しい、辛いという話だけでなく
嬉しかった話や楽しかった話、癒された話をされることがあります。
「そんなポジティブな話ではなく辛い気持ちを引き出さないと!」
「この人は辛い話をしに来たのに、こんな話で時間をつぶしてたらダメだ!」
もしかしたら駆け出しのケア提供者は思うかもしれません。
そして嬉しかった話や楽しかった話に「無反応」になってしまうことがあるかもしれません。
これは話す側からすると寂しく感じるのではないでしょうか。
ちょっとした喜びかもしれませんが、
目の前にいる聴き手に聴いてほしくて、
一緒に喜んでほしくて、
緊張がゆるんだ拍子にぽんと出たりします。
当人は自覚もないかもしれませんが、目の前にいる聴き手への信頼があってこそです。
悲しみ、苦しみだけでなく、ともに喜び、笑えるケア提供者であり続けたいですね。