前回の記事「カウンセリングで人の話を聴くテクニック」
ではテクニックを身に着ける前にまずは「あり方」が大事という話をしました。
どうしようもないくらいしんどくて、誰かに話を聴いてほしいという相談者の方たちは、普段よりも感性が敏感になっています。
ですから、テクニックで表面だけ取り繕ったとしても土台となる「心」「あり方」がぐらぐらしていればそちらの方がメッセージとして伝わってしまいます。
まずはあり方をしっかりと整え、テクニックを使うとしたら自分の物にした状態で、自然に使うのですね。
テクニックを自分の身体の一部として一体化した状態でないと、本当に使えるとは言えません。
ですので、それができないのであれば、無理に使おうとせずにテクニックなしで、素の自分のまま対応した方がよっぽど良いということになります。
あり方を整えると自然とその場にふさわしい対応ができるので、テクニックが無くとも、一つひとつの対応自体が自然とテクニックのような働きをするので、大丈夫というわけです。
あり方が聴き方に影響する
セルフイメージに抱えているブロックなど
さて、あり方とセルフイメージの話ですが
セルフイメージとは、自分が自分のことをどう思っているか、ということ。
深層心理、潜在意識で抱えている自己イメージのことですね。
「私は努力しても最後のところでいつも失敗する」
「私は人に騙されやすい」
「私はどこに行っても人に好かれる」
「私はいつも幸運だ」
「私はお金に困らない。」
など、人によって抱くセルフイメージは異なりますね。
ネガティブなセルフイメージを持っている場合、表面の顕在意識で「私は成功したい。そのためにはあれとこれを頑張って、いつまでに〇〇する」などという目標を掲げ、実際に努力をしたとしても、
「私は努力しても最後のところでいつも失敗する」というセルフイメージを抱えている場合、失敗する確率が高くなります。
「失敗する」というネガティブなセルフイメージ(これもビリーフの一種ですが)を証明するかのように、現実が動くのですね。
外の世界は自分の心の反映といいますが、本当にその通りになってしまうのです。
「いつも結果にがっかりするのが自分という人間だ」
そう思っているから頑張っても失敗するという現実が作られるのですね。
これは能力云々に関係なく、単にセルフイメージの問題なのですね。
無意識的に失敗するような行動を選んでしまっているのです。最初から。
ほとんどの人の自覚がありません。
自覚がないから毎回繰り返すのです。
そして一部の人は「これはひょっとして自分の心に問題があるのではないか?」うすうす感じるようになり、
内面を変えていくという行動を繰り返すことで、現実が変わってきます。
失敗を繰り返すというのは、成功を許していない状態ですね。
失敗する方が都合が良いのです。
表面ではがっかりしていても、潜在的にはその方が良い。
成功したら何を失うのか?
成功して何を失うことに恐怖を抱いているのか?
どうして失敗する方が自分にとって都合がいいのか。
失敗することによって何を得ているのか?
これらを深く深く深く、自分の心に聴くと・・・。
成功したら人に嫌われる
家族や友達が去っていく。
忙しくなって自由な時間が減る。
今の人間関係を壊したくない。
忙しくしたくない。
もっと探ると育ってきた親子関係の問題にいきつくかもしれません。
幼少期に無意識レベルで抱いていた思いとリンクすることがあります。
成功するとお母さんに構ってもらえない、愛情が得られない。
いつまでも関心を持ってほしい。
ダメな自分でいる方がかわいがってもらえる。
ひょっとするとこんなのもあるかもしれません。
お母さんは他の兄弟のことで大変だ。感情のはけ口が必要だから私が怒られ役になってお母さんをらくにさせてあげたい
お母さん(お父さん)に愛されるために、偽りの自分を装うようになる
これらは一例ですが、根底にこのようなセルフイメージを抱えているといくら頑張っても結果が出ないということになります。
人間本来、別人にならなくても素の自分のままで成功するのです。素の自分のままで取り掛かれるような情熱が前提となった努力は満たされますが、
偽りの自分の無理してする努力は自分でないものになろうとしているので疲弊します。
心を深く深く探っていくと、今抱えているブロックやらネガティブなセルフイメージでいることで、何を得ようとしているのかが見えてきます。
聴く人になる訓練は偽りのセルフイメージを手放し、素の自分を思い出していくこと
あり方を問われるというのは、偽りのない自分で目の前の人に誠実に接するということです。
自分が自分に抱いているセルフイメージを良いものにしていくわけですが、これは短所や欠点を無くすということではありません。
また、無理して頑張って特殊な能力を身に着けることでもありません。
今のままの自分、欠点や心の傷を抱いている、それでも良い所もいっぱいあるその自分で良いのだと受け入れることです。
色々な偏見を抱いていたり、ある能力が著しく劣っていたり、私生活で恥ずかしいことを抱えていたり、色々あるでしょうがそのことを自覚し、それもそのまま、こんな自分だけど、それで良いんだと受け入れること。
これは不満な現状に我慢するというのではなく、「あ~こんな自分いやだな~」「もっとこうだったらいいのにな~」「こんなこと人にいえないな~」という気持ちもありのまま受け入れるということです。
今の正直な気持ちに蓋をして、自分の心にまでうそをつくからしんどくなり、他人に対してもその延長で偽って接することに繋がるのでそれをまずやめるのですね。
あり方というのは、どれだけ自分に正直にいられるかということ。
それができると自分の本音がわかるようになります。
そうすると他者の話も自分の期待や偏見を脇に置いて聴けるようになるのです。
自分のフィルターで相手の話を捻じ曲げて解釈することが減ってきます。
偽りの自分というのは自分の話さえ聴けていない状態です。
そんな状態で他人の話は聴けません。
今日も読んでくださりありがとうございました。