ドラマ「病室で念仏を唱えないでください」監修は谷山洋三先生
なんとこのドラマの監修がスピリチュアルケアの研修でお世話になっている谷山洋三先生と伺いました。
これは観なければ!ということでちょっとリサーチ。
医師としての役割と仏教を背景に持つチャプレンつまり日本でいう臨床宗教師の役割をこなす主人公なのですね。
患者さんやそのご家族の苦悩に寄り添う病院での「スピリチュアルケア」の場面がドラマで観ることができるのでは?と期待しております。
こやす珠世氏原作のコミックが元になっています。
病室で念仏を唱えないでください(1)【期間限定 無料お試し版】 (ビッグコミックス)早速注文してしまいましたが、ネットでちょっとだけ読むことができます。
主人公の松本は僧侶でありながら人間臭いところもいっぱいある魅力的な人物。同僚の医師や患者さんと交わされる言葉から、現場のことがありありとイメージできます。
1巻には敗血症で亡くなる患者の話が出てきて、個人的に自分と重ね合わせてしまいました。私の場合は妊娠中の敗血症、産科DIC、多臓器不全という状況なので少し異なりますが、治療法など重なる部分が多かったです。
患者として私も助産師さんのケアを受けたことがスピリチュアルケア、グリーフケアに興味を持つ原点でしたので、患者の立場とスピリチュアルケアをする側の両方の視点から読んでみたいと思います。
今さらですがチャプレンって何?
臨床宗教師って何?
「病室で念仏を唱えないでください」のキーワードでこのブログに来られた方、チャプレンって何?臨床宗教師って何?スピリチャルケアって何?っていう状態でしょうか?
チャプレンというのは簡単にいうと「病院付き牧師」です。
キリスト教であれば牧師や神父、仏教であれば僧侶など、それぞれ宗教のバックグラウンドがある宗教家が、教会やお寺ではなく病院において苦悩にある患者さんやご家族、あるいは一緒に働いている病院スタッフの心のケアを目的に、その人達の抱える苦悩に耳を傾けます。
布教や伝道を目的にしているのではありません。しかし求められたらお祈りや読経をすることもあります。
カウンセラーや臨床心理師とどう違うの?
バックグラウンドが牧師や僧侶といった宗教家であることで、人は死んだらどうなるのか?生きてきた意味はなんなのか?どうしてこの私がこんな病気になったのか、などといった「答えのない問い」「スピリチュアルペイン」に一緒に向き合います。
カウンセラーや臨床心理師の中にも、スピリチュアルケアということを大事にし、そういった問いに寄り添うことのできる人もいますが、一般的には「問題解決型のケア」とされています。
一方、チャプレンや臨床宗教師が行っているのは問題解決が目的ではなく、一緒に苦悩を共にし、その人が自ら気づきに至ったり、重大な決断をする際に、そばでしっかりと見守るという「寄り添い型のケア」です。
人は深い苦悩の中にある時、心を突き詰めて掘り下げていくと、答えや救いを人間個人という枠を超えた「究極の自己」「神や仏といった大いなるもの」に求めることも多く、宗教的な答えを知りたいという方もおられます。そういった心を深く探るプロセスを共に歩むには、宗教的な知識を豊富に持っている専門家であると同時に、同じように自己の心を深く探る訓練を経たチャプレン、臨床宗教師の力が期待されます。
病院だけではない チャプレンの活動する場
1.病院、ホスピス、介護施設
日本ではまだチャプレン、臨床宗教師が活動する場は少なく病院が中心ですね。
チャプレン=臨床宗教師ですが、この言葉自体はごく近年になって「岡部健(たかし)」先生が作られたものです。
2.刑務所
「チャプレン」の従来の日本語は「教誨師」、つまり刑務所で働く宗教家ということになります。
この教誨師、みんながみんな必ずしも対話による「寄り添い型」のスピリチュアルケアを行っているわけでなはく、どちらかというと宗教的な「教化」によって受刑者たちをまっとうな道に導くといった役割の方が強いのかもしれません。
もちろん教誨師の中でも対話を大事にするスピリチュアルケアを実践している方もおられます。
欧米ではこんな場所で活動している
病院、介護施設、用語施設、刑務所、軍、大リーグ、学校、消防、警察など。
スピリチュアルペインというのは病気になった時や死に直面した時だけに抱くものではありません。
大災害で悲惨な現場を目にしたり、トラウマになるような状況に出くわすというのもスピリチュアルペインを抱くきっかけとなります。
また大リーグですが、それまで野球に人生を賭けてきた選手が、怪我などで継続できないとなった際、その後の人生野球以外でどうやって生きていけばいいのかという苦悩を抱えることになります。生きがいであったものを失いその後どう生きればいいかという問いもまたスピリチュアルペインです。
このようなことから大リーグにもチャプレンがいたり、教育現場にもチャプレンがいるというわけです。
日本でも今後、医療施設や介護福祉施設だけでなく、より生活に密着した形でチャプレン、臨床宗教師の活動の場が広がっていくのではないでしょうか?
そういった意味でも、2020年1月スタートのドラマ「病室で念仏を唱えないでください」は楽しみでもあります。
以上読んでくださりありがとうございました。