公認されない悲嘆とは?
「公認」とは公に認められるという意味です。
「公認カップル」という言葉を聞いたことがあると思いますが、
簡単に言うと「みんなに認められているカップル」という意味ですね。
ですから「公認されない」ということは、「みんなに認められない」ということになります。
公認されない悲嘆の例(今回は死別の例のみを取り上げました。
悲しむことを認められないという意味では、性犯罪被害者や、犯罪加害者家族の悲嘆、LGBTの人の苦悩、父親のわからないAIDで生まれた人の苦悩、差別に合っている人など、多岐にわたって挙げられます。)
悲しんでいるその人の存在を認められない、
悲しみ自体を社会が認められないという場合は公認されない悲嘆となりえます。
1. 関係が認められていない場合
不倫相手、同性愛者、元配偶者
2. 喪失が認められていない場合
流産・死産、中絶は喪失自体を知ってもらえない場合や、知ってもらえても通常の死別と同等には認識してもらえないことが多い。ほか、家族が失踪した場合。
3. 悲嘆者が認められていない場合
残された者が知的障害者、発達障害者、精神疾患者、幼い子ども等の場合悲嘆していることがわかってもらえないことがある。
重度の認知症の者や幼い子どもの場合、死を理解していないだろうと周囲が勝手に解釈してしまうことがある。
4. 死に方がしかるべきものでない場合
故人の死の状況が社会的に共感を持たれにくい場合も、公認されない悲嘆となる。
自死、アルコール依存による死、事件の加害者、死刑者など。喫煙者が肺がんで亡くなった場合など。
5. 悲嘆の仕方が異なる場合
悲嘆の仕方は文化によって異なるために、異なる文化的背景を持つ者が、その文化にふさわしい悲嘆の仕方をしても他の文化的背景を持つ者には、その悲嘆がなかなか理解してもらえないことがある。
例えばイスラム圏の人にとって、火葬は大きな苦悩。死者は来世で肉体をともなって天国か地獄に復活するとされているため。
(Doka 2002)「グリーフケア入門」より抜粋
上記のような場合、公認されない悲嘆に繋がりやすい
公認されないということは、社会でその悲しみを分かち合えないということです。
したがって、悲しみを抱えていても誰にも相談できず
一人で抱え込むことになり、
孤独・孤立に陥る、社会と断絶するという状況にもつながります。