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「出会い」と感情の自己開示①

「出会い」とは何なのか?

ケアの仕事に関わるようになって、「出会い」とは何なのかと考えるようになりました。

私たちは家族や友人、知人などと会話をすることはありますが、

本当の意味で「出会って」いるのかと訊かれると、必ずしも「はい」と答えられない気がします。

 

吉福伸逸さんの本の中に

「本当の意味で出会っている夫婦はほとんどいない。

セラピーを受けてもらうと多くの夫婦が別れを決断する。セラピーの場で初めてお互いが出会うことになるから」

というようなこと書かれてありました。

 

一緒に生活を共にしている夫婦でさえ、「出会っていない」というのはどういうことなのか?

ゲシュタルト療法の5層1核の図を見てください。

中心に「真の自己」があり、その周りを5つの層が囲んでいます。

⑤の外破の層にぶつかって初めて真の自己に触れるとされています。

以下、

 より

1.決まり文句の層

「こんにちは」「元気?」「お天気がいいね」といった決まり文句で構成されている層。

人間が本格的な出会いをする前に安全を確認する、挨拶の層。個人的なものは何もない。

2.役割の層

自分はどこの組織のどういう立場にいて、家庭に帰るとどういう立場だ、という層。

決まり文句の層と役割の層にいればまっとうな人間として 安全に、らくにやっていける。

3.行き詰まりの層

1,2の層を超えると自分はいったい何をしているのだろう、自分は誰なんだろうという疑問が起こってくる。

決まり文句と役割が消え、自分をふり返ったとき、自分が誰であるかはっきりせず空虚な感じがする層。

この行き詰まりの層にぶつかると大半の人が引き返してしまう。

自分が誰でもないことに直面するのが怖いので、役割の層へ戻ってなんとか辛さを回避しようとする。

ゲシュタルト・セラピーではここを突き抜けるよう導く。

4.内破の層

死のイメージがまとわりつくそう。死そのもの、死の恐怖が出てきやすい。近親者の死や自分の死など、いたたまれなくなる。

行き詰まりの層から引き返さないでもっと深く自分は誰かと問い詰めていったときに出てきやすい層。

実存的恐怖と呼ばれる、突然意味もなく心臓がどきどきして、今にも死ぬのではないかとか、

死が自分のすぐ近くにあるような感覚が襲ってきて、身動きが取れなくなることがあるが、

それは何等かのきっかけで決まり文句と役割の層がはずれて行き詰まりの層を突き抜け、内破の層にふれてしまったようなときに起こる。

5.外破の層

ゲシュタルト・セラピーではこの外破の層にぶつかったときに初めて、本当の自分に触れるという。

人間性心理学でいわれる自己実現の層。ここに本来生を秘めた「真の自己」がある。

この外破の層は四つの段階に分かれている。

1)悲しみ

2)性的な抑圧

3)怒り

4)喜び

自分の内面を覗くとおおむねこのような展開になるが、これらを表現してしまえば、未解決の問題に引きずられず、いま、ここにいる本当の自分にふれていくことができる。

この段階まで来たからといって、その人が未解決の問題をずべて解決したというわけではなく、いくつかの問題が残っていたとしても、その問題に引きずられない状態になっている。

 

私たちは社会的にうまく適応して生きていこうとする時、「①決まり文句の層」や「②役割の層」で生きている。

本心ではなく、社会的な仮面が自分だと思って生きています。

 

会社など組織の中でうまくやっていくにはそうせざるを得ない部分もあるでしょうが、家族間、夫婦間でも同じように振る舞っているというわけですね。

いわば思考で「こうあるべき」と考えた自分。

生身の自分ではなく、本心本音の自分ではなく、取り繕った自分です。

 

本心では気持ちが冷めきっているのに、経済的に大変だからと離婚せずにいたり。

世間的にどう見られるかや社会的な立場を守るため、形だけの結婚生活を続けていたり。

 

幸せになるためにそうしているのかもしれませんが、思考の「こうあるべき」を満たしたところで、心は納得できないですよね。

幸せは頭で判断するものではなく、心で感じるものです。

そんな生活を続けても幸せを感じることはないでしょう。

出会うには感情の開示がカギ

スピリチュアルケアの訓練の一つ、グループワークでは、今どう感じているか感情を開示することが大事とされます。

また「出会う」は英語でencounterといいます。

「エンカウンターグループ」といって、グループワークを通して自分に向き合うグループセッションもあります。

 

こちらは参加したことはありませんが、読んでみるとスピリチュアルケアのグループワークにとてもよく似ていました。

社会的な仮面をはぎ取って、本心本音でぶつかるそうです。

 

さて、私が数回参加してきたスピリチュアルケアのグループワークですが

研修生は①の決まり文句の層や②の役割の層に留まっていることはまずありません。

というのはグループワークの初日や2日目では人によっては「役割の層」からなかなか出られない場面もあるように思うのですが、参加者同士の関わりによって、その人の心の殻が破られてくるのです。

役割の層で居続けていた場合、他の参加者にとって

 

「この人は今ここにいない」

「もっと自分を開示してほしい」

「取り繕ってないでちゃんと関わってほしい」

「こっちを向いてほしい」

と感じるようになります。

 

普段「思考優位」の人にとって感情を開示するのは最初は難しいですが、徐々に掴めてきます。

私が参加した体験からですが、③の行き詰まりの層を突破し、④内破の層や⑤外破の層を深く体験している感覚で時には真実の自己に触れる体験もありました。

 

人と人が本当の意味で「出会う」のは、真実の自己に触れた場合ではないでしょうか。

とういうのは、他人と本当の意味で出会うには、まずは自分に出会う必要があるからです。

本当の自分に出会ってもないのに、他人とは出会えないでしょう。

 

そう考えると、私自身ももしかしたら日常で接する人たちとはほとんど「出会っていない」のかもしれません。

本当の意味での「出会い」はものすごく貴重な体験です。

ある瞬間にある人との「出会い」は訪れても、次に会ったときにも同じように「出会う」とは限りません。

私は28歳の時に生死をさまよい、その時お見舞いに来てくれた身内に「出会った」体験がありますが、年月が経ってみると「あれ?あの時は通じ合えたのに、薄れてしまったなあ」と。

 

ありがたいことにスピリチュアルケアのグループワークでは、本当の自分に触れ、また他の研修生やSVの先生方との「出会い」がありました。

 

普段誰にも話せないような個人的な生育歴を披露し、常識や思考を取っ払って、「今何を感じるか」を開示し合います。

研修中は基本的にその場以外でグループワークの延長戦は禁止です。

 

グループワークで開示した内容以外の大切なものを打ち明けたり打ち明けられたり、休み時間のちょっとしたやり取りがケアに繋がったこともありました。

 

感情の表出が薄く感じる時

ケアの場で、クライアントさんの感情の表出が薄く感じることがあります。

二つのパターンがあり、

1.しんどさを抑圧している場合

2.自己浄化が進み、生き生きと生きている状態

 

1のしんどさを抑圧している場合は、感情を麻痺させています。

話を聴いていて「しんどい気持ちを抱えているな。生きづらいだろうな」と伝わってきます。

カウンセリングやセラピーで対象となる層です。

 

2の自己浄化が進み、生き生きと生きている状態。

割合としては非常に少ないです。

 

なぜカウンセリングに来るの?と思うかもしれませんね。

生き生きと生きている人でも、前向きに挑戦したい気持ちを応援してほしいだったり、

もっと自分らしく生きていきたいなどのことで来られます。

 

感情の揺れは確かにさほど大きくなく、穏やか。落ち着いた感じが伝わってきます。

今ここに心を開いて生きている場合、怒りや悲しみなど、感じたとしても引きずることが少なくなることが理由かなと。

 

スピリチュアルケアの提供者になる訓練では、自分の感情に向き合います。

普段感じないよう、心の奥底に無意識にしまってある過去の傷や、未完結の問題が浮上し、向き合うことになります。

 

意識的に向き合うこともあれば、意識していなかった課題が現れることもあり、感情が揺れてしんどい思いをします。

この時、おそらく先ほどの5層1核の③行き詰まりの層や④内破の層、⑤外破の層に触れているのでしょう。

仲間に受け止めてもらい、自分でも受け止めることで、心が浄化されてらくになり、日常生活までもが自由度を増していく不思議な訓練です。

以下は必読書

 

自己受容が進むので自己愛が深まり、結果的に他者のことも受け止められるように変容していきます。

今ここ、目の前の人に心を開くことができ、ここで他者と「出会う」のですね。

関連記事:いつになったら自分の人生を生きられる?この先の道筋を知りたい

 

このトピックは次回も続きます。次回はちょっと過激編になるかも!?

 

今日もお読みくださりありがとうございました。

 

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