今日は澤登和夫さんの著書「人生をやめたいと思ったとき読む本」を紹介させていただきます。
この本との出会いは数日前で、実は間違って注文してしまったのです。
本が届き読んでいる途中で「あれ?私が読みたかったのはこんな話だっけ?」と思い著者名を見ると買う予定だった本と違いました。
ネットで注文する時にミスをしてしまったのですが、せっかく縁があって届いた本なので返品はせずにそのまま読んでみることにしました。
著者の澤登さんはうつが原因で自殺未遂の経験があります。
身体が回復した後もうつで5年半、さらに難病で大腸を摘出するとう体験もされています。
死別による悲嘆もそうだと思いますが、うつなどの苦悩を抱えている時も、一体どうすればこの状態から解放されるのか、どうすればらくになるのか、答えを求めて本やネットで調べまくる方も多いかと思いでしょう。
どこかに答えがあるのではないか、と。
澤登さんも同じような思いを書かれています。。
「人生をやめたいと思ったとき読む本―マンションから飛び降りたぼくがあなたに贈る 生きる力がわいてくる30のメッセージ」
p.3~5 「はじめに」から。
この苦しい気持ちを少しでも楽にしてくれる本がないか、必死に探しました。
家から出られなくても、インターネットが見られる状態の時は、答えが書いてある本がないか、わらをもすがる思いで検索しました。
「もしかしたら、この本が力になってくれるかもしれない」
「表紙をぱっと見て、期待がふくらみます。
しかし、少し読み進めていくうちにもう一つ別の言葉が浮かんできます。
「わかるけど、今の自分では無理・・・・・・」
生きるためのエネルギーがほとんどないぼくにとっては、難しすぎるのです。
例えば、「プラスに考えよう」とか、「簡単な体操を続けてみよう」とか、頭ではわかるし、書いてあることも確かに正しいと思います。
でも、それが続くことはありませんでした。
「だれにでも、簡単にできる」と書いてあるのに、「だれにでも」に当てはまらない自分がいて、さらに苦しみが増していったことがたくさんあります。
この本で重視したものは、理論や方程式ではありません。
重視したのは「体験」です。
・僕自身が「人生をやめたい」と思ったときに感じていたこと
・5年半の重度のうつ、難病の苦しみから解放されるまでに支えになったこと
・ぼくのクライアントさんら、同じようにつらい思いをしてきた仲間たちの体験談
をもとに、「人生をやめたい」と思う方でも、比較的取り入れやすい考え方や実践的な方法を「30のメッセージ」としてまとめました。
すべてのメッセージが、あなたにあうかどうかはわかりません。
でもきっといくつかは、「人生をやめたい」と思っているあなたにとっても、「こころのよりどころ」になると信じています。
ひとつだけ、断言できることがあります。
それは、ぼくは「人生をやめたい」と強く長く思っていたからこそ、今、充実した日々を送らせてもらっている、ということです。
うつの状態にある時は、行動するエネルギー自体が枯渇してしまいます。
そんな時にできることというのは限られています。無理なくできることでどうにか回復に近づいていくことが理想だと思いますが、無理なくできることというのももまた、人によって異なりますね。
30のヒントの中には合う合わないがあると思いますが、きっとヒントになるものもあるのではないでしょうか。
「カーテンを10センチ開ける」「姿勢を変える」など、元気な時は気が付かないものですが、意外に心に作用するのではないかと思いました。
エネルギーが少なくても、それくらいであればどうにかできそうに思えます。
文章も平易でストレスなく読むことができました。
澤登和夫さんは体験者であり、現在はうつ専門カウンセラーとして起業しご活躍されています。
気分というのは自分ではなかなかコントロールができず、「こんな感情感じたくない」と思っても、心が勝手にそう感じてしまいます。
そんな中でも、「これをすればちょっとらくになる」ということを増やしていく、本にもありましたが、時には「動かない」ということも大切で、休んでいる間にエネルギーがチャージされることもあります。
休むとダメになるという思考を抱えている人にとっては、休むことで余計に心の苦しみが深まることもあるでしょうし、逆に休むことで「休んでも大丈夫なんだ」と思えた人は少し解放されるのかもしれません。
誰にでも当てはまる正解はありませんし、うつといっても大切にしている価値観は人によって異なるので、その価値観に沿った方法、対応が人の数だけあるということ。
今うつや希死念慮で苦しんでいる方も、それは一時的なものであって、大丈夫なんだ、希望はあるのだということを体験者だからこそ、身をもって実践していらしゃる姿が本当に頼もしく感じました。
今日もお読みくださりありがとうございました。