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スピリチュアルケア(グリーフケア)と臨床心理士、心理カウンセラーの違い

スピリチュアルケアと心理カウンセリングの違い

スピリチュアルケアと臨床心理士の違いって?

似ているので明確な違いがわかりにくいです。また隣接した領域で、重なっている部分、共通する部分もあります。ざっくりと違いを述べてみました。

臨床心理士や心理カウンセラーはクライアントの「社会適応」が目標

 

症状を和らげ、社会で生きていくためのカウンセリング

臨床心理士さんや心療内科、民間の心理カウンセラーと呼ばれる人たち、新たにできた「公認心理士」もそうですが、

いわゆる「ちゃんとした」「学術的にも信頼できる」「社会で認められているような」心理学やカウンセリングの資格を持った人たちによるセッション・面談です。

相談に来るクライアントさんの症状は

うつ、適応障害、気分障害、不登校、強迫性障害、社会不安障害、チック、アダルトチルドレン、摂食障害、パニック障害など。

挙げればもっとありますが、症状があるために社会生活を送るのに影響があって困っているという人が対象です。

 

対象は困った症状をどうにかしたいという人

気分が落ち込んでやる気が出ない、やめられない症状がある、こんなこと考えたくないのに繰り返し考えてしまう・・・。

このような症状があるため、日常でやるべきことに集中できなくて困っている。

とりあえず学校に行けるように、とりあえず仕事ができるようになど

症状を緩和して日常生活が少しでもらくに送れるようにサポートしてくれます。

そしてゆっくり時間をかけて症状の原因を見つめる作業を進めていきます。

根本となった原因をみつめるという作業もやっていきますが、どちらかというと「社会適応」に焦点が当てられています。

 

最近ではスピリチュアルケアやスピリチュアリティという視点を持った臨床心理士や心理カウンセラーも増えているように思います。

 

スピリチュアルケアは苦悩の根本を見つめる作業

 

スピリチュアルペインは社会適応できているできていないに関わらず誰もが抱えうる苦悩

社会適応することは必ずしも求めていないクライアントさんもいますし、社会適応はできている人であってもスピリチュアルペインを抱えることもあります。

・生きていてもしょうがない、死んでしまいたい

・どうして自分ばかりがこんな目にあうのか

・どうしてあの人が亡くなったのか

・今抱えているこの苦しみにどんな意味があるのか

・死んだらどうなるのかを考えると怖い

このような問いがスピリチュアルペインと呼ばれているものです。

スピリチュアルペインが元で、なんらかの症状が現れることもあります。

症状を和らげることも大事ですが、その症状の元となっている価値観、ビリーフに向き合うのがスピリチュアルケアです。

 

対象は「問題解決」では苦しみの根本解決はできないとわかっている人

例えばうつ病の原因が身体的なものから来ているのであれば、そこを治療すれば症状は治まります。

しかし、何か大きな喪失体験やトラウマという原因がうつを引き起こしている場合は、薬で症状を和らげることはできても対症療法でしかなく、根本が解決されたわけではありません。

「社会適応」についてですが、スピリチュアルペインの一つには「自分らしく生きたい」という思いがあります。

その場合社会適応して生きていくこと自体がその人にとって自分らしさを無くすことを意味しているかもしれません。

その人にとって、社会が望むような自分になることは、生きていても死んでいるように感じることかもしれません。

スピリチュアルケアではそのような場合、社会適応できるようにサポートするのではなく、その人の「もっと自分らしく生きたい」「自分らしくありたい」という気持ちに寄り添います。

もちろん、相談者によっては「社会適応して安心安全に暮らしていきたい。そのために抱えている症状を和らげたい」といった思いをお持ちの場合もあります。そういった場合は「もっと自分らしさを大事にした方がいい」などと言わず、相談者の気持ちを尊重します。

正解はなく、クライアントが決定できるよう一緒に心をみつめる作業をする

例えばどちらを選んでも良くなるのかわからない、あるいはどちらも辛い結果が待っているという状況があります。

特にターミナルの現場、妊娠中に赤ちゃんに致命的な病気が見つかった、がんの治療法をどうするかなどです。

人の生死に関わる時に、周囲の声に影響されて決定した結果、後で後悔するということがあります。

決定は自分自身の本心に従って、自分自身が納得できることが大前提なのですが

このような状況では自分の本心がわからなくなり、パニックに陥るのが普通です。

スピリチュアルケアではケア提供者の考えを押し付けるのではなく、その人自身が心の深い所でどう感じているのか、その人にとって最善の選択は何なのかということを一緒に見つめます。

そしてどのような選択であっても、クライアント、相談者の決断を尊重します。

 

社会適応して生きていくことを大切にしたいか、自分のたましいの声に従いたいか

どちらが良い、どちらが悪いということではありません。またスピリチュアルケアと心理カウンセリングに「ここから違う」といった明確な境目はなく、どちらも両方の要素を含んでいます。

 

 

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