うまく行ってそうなのに、なんとなくモヤモヤするのは本当の気質とずれているからかも
あなたはどんな性格ですか?
まじめ?優しい?頑固?
いつもやる気に満ち溢れている?
おっとりしたタイプ?
その時の体調によっても変化することもありますよね。
若いころは引っ込み事案だったのに、年齢を経て積極的な性格に変わったり、逆に幼少期はやんちゃだったのに成長するとおとなしくなる人もいます。
性格って一体なんなのでしょうか?
英語ではパーソナリティと言います。「個性」ですね。
下の図はゲシュタルト療法で唱えられている「5層1核の図」。これは個人の意識や心を表します。
私たちの多くは①の決まり文句の層と②の役割の層を行き来して社会生活を送っています。
心の深いところを掘り下げて、感情をあらわに表現するのではなく、社会生活に適応した自分を演じるのですね。
そしてそうするうちに、社会生活に適応した「役割」としての性格を自分自身だと無意識に思うようになっていきます。それが①だったり②だったりします。業務上、表面上、人とぶつからずにやっていく「決まり文句」という挨拶の層と、例えば会社員として、夫として、父としてなどの役割を演じる層。
多くの人はそのことに疑問を持たず、あるいは疑問や違和感を持ったとしてもやり過ごしてその奥に進もうとしません。
それなりにやっていけるからです。
でもこの「決まり文句の層」「役割の層」での性格は本当の性格ではありません。
先天的性格と後天的性格
図をみていただけれと一目瞭然ですね。
※参考文献:自分の性格と上手に付き合うためのカゲモン性格診断 ~自分の生まれつき性格がわかるテスト付~
上記の本はとってもわかりやすく人の性格、エニアグラムについて書かれています。
生まれ持った本来の気質は、後天的性格に隠されています。
本来の気質そのままで生きていればそれほど生きづらさを感じることもないでしょう。
気質とは一言でいうと「刺激に対する反応」ということで生きていく上での防衛戦略。ある刺激に対して敏感に反応し、不安になタイプや、平気なタイプなどもともと持って生まれたもの。
後天的性格に同化して、感性を麻痺させていれば、表面的には生きづらさを自覚することもないかもしれません。
しかし、本来の気質と後天的性格のずれをなんらかのきっかけで意識せざるを得ない出来事に遭遇したりすると、ストレスを抱えますね。
自分本来の気質とかけ離れた性格を装おうと無理をしていると、当然人生のどこかでそれに向き合わざるを得ない状況に出くわします。
もやもやするのはなぜ?自分の気質を知り、それに合った環境を選ぶことで生きる力が戻ってくる
なぜ自己分析をするのかというと、自分にダメだしをして我慢を重ね、無理に環境に合わせるためではないのです。
本来の自分の気質と大きくずれたことをすると病気になったり、ストレスのあまり変な行動を起こして他人に迷惑をかけたりということが起こります。
本来の気質を把握するのは、無理な力を入れることなく、自然に最大限のパフォーマンスを発揮し、充実した人生を歩むためです。
エニアグラムで気質を知る
エニアグラムとは
ギリシア語で「エネア」は9、「グラム」は図を意味します。
鈴木秀子先生の本「9つの性格 エニアグラムで見つかる「本当の自分」と最良の人間関係」によると、エニアグラムの発祥は定かではないが、約2000年前のアフガニスタン地方で生まれたのではないかということです。
p.32
エニアグラムを特に重視したのは、イスラム教の神秘主義的宗派であるスーフィ派だった。スーフィ派は、エニアグラムを天体の運行から、人間の意識の発達のマッピングにまで幅広く活用したが、ことに社会のリーダー育成のマニュアル重視し、その実用性と論理性を高めていった。
スーフィ派において、エニアグラムは、門外不出の”秘伝”とされ、霊的指導者から、二人の優れた弟子に代々口伝された。ただし実際にエニアグラムを使うことは、そのうちの一人である次代の指導者にしか許されず、もう一人は、指導者の不慮の死に備えるための存在で、実際にエニアグラムを活用することは許されなかった。
この文章から、エニアグラムがいかに貴重な知恵だったのかがわかりますね。
霊的に開けた人物は「神秘の次元」につながり、その叡智に触れ、地上にそれがもたらされることになります。人間の頭が考えたルールや決まりではなく、意識の根底に流れる「本質」を読みとったということでしょう。
だからこそ「門外不出」だったのですね。誰もが得られる知恵ではなかったのです。
さて、人間の性格は十人十色、同じ人間はいません。性格は先天的性格(気質)プラス後天的性格です。人の数だけ存在します。
しかし人間の気質は9種類に分類されるといいます。人間を根底から突き動かしている「エネルギー」外界への刺激に対する反応の仕方が9タイプに分けられるといういうことです。
※詳しくは鈴木秀子著「9つの性格 エニアグラムで見つかる「本当の自分」と最良の人間関係 (PHP文庫)」を読んでみてください。
こちらはより詳しく説明されているので、深めて自分ものにしたい人におすすめです。
エニアグラムの9タイプ「9つの性格 エニアグラムで見つかる「本当の自分」と最良の人間関係」から
タイプ1 完全でありたい人
タイプ2 人の助けになりたい人
タイプ3 成功を追い求める人
タイプ4 特別な存在であろうとする人
タイプ5 知識を得て観察する人
タイプ6 安全を求め慎重に行動する人
タイプ7 楽しさを求め計画する人
タイプ8 強さを求め自己を主張する人
タイプ9 調和と平和を願う人
めっちゃ簡素化して書きましたが、とっても奥が深いんです、本当は。
タイプ1,8,9は「腹」で反応する気質。
タイプ2,3,4は「胸(感情)」で反応する気質。
タイプ5,6,7は「頭」で反応する気質。
それぞれの気質がどんなことを大事にして、どんなことが得意でどんなことが苦手なのかということが詳細に書かれていますので、興味のある人はぜひ関連の本を読んでみてください。
またご自分のエニアグラムのタイプを知りたい方はネットで検索すれば診断サイトがいくつか出てきます。
エニアグラム診断のポイントは子どもの頃の自分を思い出すこと
「20歳の頃の自分を思い出して答えてください」と書かれていることが多いのですが、私の場合は20歳ですでに「後天的性格どっぷり侵されていた」ので、20歳の頃の自分で診断すると間違った結果が出てきました。
後天的性格である「狭義の人格」は気質とも近い関係にありますが、その他の「習慣的性格」「役割的性格」はかけ離れていることもあります。
それらの性格にどっぷりはまっていて、自分の本質だと思い込んでいる場合、本当の気質はわからないままということになります。
例えば本来の気質は繊細ですぐに不安になるタイプなのに「役割的性格」で積極的でアクティブな自分を演じていた場合、それを気質そのものだと思い込んで診断しても正しい結果は現れません。
このようなことから、習慣や役割の影響が少ない時期の自分のことを思い出して判断することが大切かと思います。
本来の気質にたどり着けなくても、自分を深く見つめる作業自体は役に立つ
私の場合このことに気が付くのが最初にエニアグラムの診断をしてから数年後でした。最初はグリーフケア研究所の授業内でやりましたが、数年後より深く自分を掘り下げた後に試すと違うタイプになりました。
しかし、異なる気質と判断してしまっても、自分のことを顧みるという点では大きな学びであるといえましょう。
9種類のタイプの説明を読むと、複数のタイプが自分に当てはまったりします。
あんなところもある、こんなところもある。一体自分はどのタイプなんだ?
複数当てはまって当然なのです。多くの場合、20歳の自分やさらに子ども時代に自分を思い出して診断するといっても、どうしても「習慣的性格」「役割的性格」が影響してしまします。
それら後天的性格は複数のエニアグラムタイプに当てはまっていて当然。
本来の気質が「タイプ1」なのに、なぜかタイプ3っぽい要素ややタイプ5っぽい要素があっても、それは後天的性格で本来の気質と違うふるまい方を身に着けてきたということです。
外の世界に適応しようと色んな性格であることが求められますからね。
診断結果がたとえ「後天的性格」のもので出てしまっても、「私はそういう風に普段ふるまっているんだね」と自分を自覚することができます。
そういう意味で、エニアグラムは役に立ちます。
本当の「気質」を見極めることで自分を最大限に生かし、他者とのコミュニケーションもうまく行きますが、そこにたどり着けなくても十分なほど、真剣に取り組めばメリットが得られるでしょう。
同じ意味で他人を分析する際もその人の本当の気質を見極めるのは、専門家でないかぎり難しいといえるでしょう。
普通の人は相手の「後天的性格」の部分を見てどんな人かを判断します。
ゲシュタルト療法の「5層1核」の図でもわかりますが、多くの場合、人は「役割の性格」で生きているため、本当の気質を表現できている人は少ないのです。
「あの人はタイプ〇だ」と他人を当てはめたい心理が働くのが人間ですが、当たらないことの方がい多いかと思います。
付き合ってみて、結婚して、相手の素が見えてくる、自分の素の部分が現わになってくると、「こんなはずじゃなかった」と思うのも、後天的性格を本性だと思ってお互いに生きてきたから。
逆に「こんな素敵な人だったのね」と本来の自分を受け入れてもらえたら幸せですね。
読んでくださりありがとうございました。