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グリーフケア。遺族会について知りたい。遺族会ってどんなところ?

遺族会について

グリーフケアの現場では大切なご家族を亡くした方たちが集まり、気持ちを語り合う「遺族会」があります。

大切な家族を亡くし、この気持ちをどうすればいいか。

この先どうやって生きていったらいいのか。

他の人はどのように日々を過ごしているのか。

納骨の時期は?

1年以上経ったとはいえ年賀状、まだ出したくないけど・・・どうしよう。

ご遺族の多くは孤独な気持ちを抱えておられます。そんな時、同じような状況でご家族を亡くした者同士が集まる「遺族会」に参加することで少しずつ生きていく力が戻ってきます。

遺族会とひとくちに言っても、どのようなご遺族を対象にしているかによって違いがあり、例えば遺族会Aは病気でお子さんを亡くした方対象、遺族会Bは自死遺族対象、遺族会Cは死因の限定は無しなど、会によって異なります。

一つの遺族会であっても、亡くした対象が誰であるか、また亡くなった原因によって、参加者の集まる時間帯や部屋を分けているとこともあります。

遺族会には

お子さんを亡くした方対象

配偶者を亡くした方対象

ご家族を自死(自殺)で亡くした方対象

がんでお子さんを亡くした人対象

交通事故でご家族を亡くした人対象

流産や死産で赤ちゃんを亡くした人対象

などさまざまなものがあります。

関西限定になりますが、関西遺族会ネットワークでは状況に合わせて遺族会を探すことができます。

関西遺族会ネットワーク

また上記のHP登録はしていなくとも、信頼のできる遺族会は見つかるかと思います。登録していない団体もありますので。

初めて行く際は不安を抱いてしまうこともあるでしょう。

怪しい宗教団体ではないか?

高額なセミナーに勧誘されたらどうしよう?

運営の母体がどこなのか?

代表のバックグラウンドは?

HPで情報を得ておくこと、可能であれば実際に参加したこともある人から話を聞いてみることをお勧めします。

 

遺族会によってケアの方法も異なる

心を深く見つめる「分かち合い」というご遺族同士の語らいが主な活動のところが多いです。

中には「癒し」や「気晴らし」が中心のレクリエーション的な活動を大事にしているところもあります。

上記二つを組み合わせた「ハイブリッド型」もあります。

 

セルフヘルプグループとサポートグループの違い

セルフヘルプグループ

セルフヘルプグループ(self-help group)は自助グループともいいます。

 

運営側のスタッフが当事者ということを意味します。同じ問題や課題を共有しているということです。例えば配偶者を亡くしたことがきっかけで、同じ思いを誰かと分かち合いたいという思いから立ち上げたという団体ながど多いです。

スタッフが当事者であり、かつケアに関する学びや訓練を受けているという場合もありますが、どちらかというとサポートする、ケアをする側という意識よりも「自分も当事者」という意識が強く、参加者と同じ目線で運営しているのがセルフヘルプグループです。

 

サポートグループ

スタッフは必ずしも当事者であるとは限りません。しかし当事者のスタッフがいる可能性は高いです。スタッフが傾聴やグリーフケアの訓練を受けていて、遺族会運営のためのしっかりとした理論であったり、またケアの質を保つための研鑽を継続している場合が多いです。

 

遺族会はどんな風に進行されるの?

私が実際に行ったことのある遺族会、スタッフとして関わったことのある遺族会は複数あります。

ほとんどの遺族会は「ボランティア活動」です。運営は助成金を活用している所が多いです。

参加費は500円や1000円のところが多いです。

どの会も当事者同士の語り合いが主な目的で、大体似たような流れになります。

1.事前予約が必要かどうか

会に参加する前に事前予約が必要なところもありますし、予約なしで参加できるところもあります。

ほとんどの遺族会はHPを持っているので、事前に確認することが可能です。

私の感覚では予約なしで参加できるところが多いです。

2.当日の流れ

1.受付

名前の記入と参加費の支払いがあります。※名前の記入が不要のところや匿名で参加できる会もあります。また遺族会のイベントのチラシや関連団体のチラシなども受け付けで受け取ることがあります。

初めて参加される方は名前以外にも連絡先やどなたを亡くしたのか、どうやって会を知ったのかなどを記入する場合もあります。

2.お茶菓子が配られる

3.分かち合いスタート

1)ルール説明

遺族会にはファシリテーターが1名もしくは2名います。ファシリテーターとは司会進行が主な役割です。ファシリテーターからルールの説明があります。

  • 他の人の話を否定せずに聴く
  • 話したいことだけを話す。質問されたとしても話せない内容であれば話さないでいい。
  • 他の人の話を外で漏らさない
  • 一人の話が長くなる場合は、他の参加者が話す時間が少なくなるので、途中でファシリテーターが止めることもあると伝える。
  • 宗教・政治・営利活動の禁止

他、

・遺族会が終わった後の参加者同士の交流は自由だが、やり取りが負担になる場合もあるということなどを伝えることも。

上記のルールを説明します。遺族会によってもっと表現を柔らかくしているところもあります。

 

2)スタッフの紹介

ファシリテーターから順番に名前・その他簡単に自己紹介をします。参加者がいつも来ている方で顔見知りの場合は簡単に済ませ、初めての方がいる場合は、名前のほか自身の喪失体験や遺族会にスタッフとして関わるに至った背景を簡単に説明します。参加者同士にたくさん語っていただくのが遺族会の目的なので、ここで長々とスタッフの紹介をすることはありません。

ファシリテーターが何か一言話す。その時の近況(ニュースや天候など)から、参加者が「あ、そうそうそういえば私も」と自身の近況を振り返る取っ掛かりになりそうなことを簡単に。遺族会のほとんどは月に1回開催です。参加者の多くは一月ぶりに会に参加するという状況。

例えばこんな風になります。

「みなさま、今日は起こしくださいましてありがとうございます。2週間前の台風、大変だったかと思います。うちの屋根も飛んで行ってしまい修理が必要なのですが、本当に怖い思いをしました。みなさまのところは大丈夫でしたか?この1か月どのようなお気持ちで過ごされたのか、お名前とここ1か月の近況をお聞かせいただければと思います。では〇〇さんから順番にお願いします。どうぞ・・・」

深い話に入る前に、そのひと月の間にどのような心境で過ごしていたのか、まずは緊張をほぐしていただくといった感じでしょうか。技量のあるファシリテーターであればもっと意味のある深い話をすることもありますが、私の場合はこんな感じです。

参加者全員が初めての参加という場合は、会が設立された経緯や、スタッフの自己紹介ももう少し時間をかけて、少しでも緊張を和らげてもらえるよう心がけます。

 

3)参加者の近況

この時全員が順番に語ります。初参加の方は緊張しているであろうと考慮し、順番が最後になることが多いです。

名前と近況、誰を亡くしどの位の期間が経ったのかなど話します。

4)話せる人から話したいことを話す

「今抱えている思い」を自由に語っていただきます。

例えば、家族の誰それが亡くなってもう5年経つが、あの時に抑えていた気持ちが最近になって表面に現れてきて、今また辛くなってきた。

今まだ半年。混乱ばかりでどうすればいいかわからない、など

参加者によって語られる内容はさまざまです。

死別から数年経つという参加者に、死別後直後はどんなことで困っていたか、今までどのように現実と向き合って過ごしてきたのか、などを語っていただくことで死別直後の参加者のヒントになることもあります。

「今日は話せそうにないので、他の人の話を聴くだけにしたいです。」というのも大丈夫です。

さまざまな思いを語り合い、時間がくれば終了です。

3.会が終わった後

感情が高ぶることを知っておく

分かち合いでは涙を流したり、他の人の発言がきっかけで意識の隅に追いやっていた心のふたが開き、ご自身の気づきにつながったり、逆に辛い思いがぶり返したりします。

分かち合いに参加している最中は、ありのままの気持ちを受け止めてもらえるので、安心感を感じることがほとんどでしょう。

しかし人によっては心の深いところが揺さぶられたため、終了後しばらくの間しんどくなることもあります。

繰り返し続けて参加することでゆっくりとらくになっていき、最初は悲しみや苦しみが心の大部分を占めていた状態であっても、それがまた違ったものに変化していきます。

 

参加者同士の付き合い

もちろんこれは自由です。本当に信頼のおける仲間ができ、遺族会の分かち合い以上に心を通わせることができることもあるでしょう。しかし付き合い自体が負担になってしまうこともあるので難しいところです。

お茶に誘われた際など、しんどい時は「誘ってくれた気持ちは嬉しいけど、今自分のことで気持ちがしんどいので控えておきます。また行けそうな時に行きますね。」など正直に打ち明けることができるかどうかですね。

あまりにしんどい状況になってしまった場合は、一人で抱え込まずその遺族会のスタッフに相談することです。話を聴いてもらうだけでもらくになります。

会からのアフターフォローの有無

私が関わったところでは基本的にはありませんでした。

遺族会はご都合に合わせて参加できる時、参加したい時にお越しいただく場です。

参加者の問い合わせや相談にはスタッフ同士が共有し、返信させていただいておりました。

ボランティアの遺族会の他、病院でも遺族ケアが受けられる

「遺族ケア外来」「グリーフケア外来」がある病院もあります。数は少ないですが、迷っている方は選択肢の一つとして心に留めておいてください。

ボランティアの遺族会では、スタッフが親身になって話を聴きますが、薬を処方することはできません。

病院の遺族外来であれば、睡眠薬やうつの薬なども処方可能です。

大切な人を亡くし、悲嘆に陥ることは自然なことですが、場合によっては悲嘆と同時に不眠やうつも発症することも多いのです。

遺族外来・家族ケア外来・グリーフケア外来・遺族会のある病院リスト

上記の病院が近く似ない場合、近所の病院で構いません。悲嘆そのものは病院に通っても消えるものではありません。ずっと抱えていくものです。しかし身体症状や精神症状に苦しんでいらっしゃるのであれば、その症状は薬で改善することが可能です。

実際病院に通いながら遺族会にも来られている方は多いです。

読んでくださりありがとうございました。

 

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