画像の出典:フジテレビ公式HP https://www.fujitv.co.jp/alive/ より
遺族会や患者会といった同じ苦しみを抱えた人達が集まって語り合うグループを「セルフヘルプグループ(自助グループ)」「サポートグループ」をいいます。
仲間がいることで支えになり、生きていく力になります。
私自身は今まで複数の遺族会にてスタッフとして・また実習生として参加した経験があります。
2020年冬放送のドラマ「アライブ がん専門医のカルテ 公式サイト」第1話に「患者会」の場面が出てきました。
患者会「やどりぎの会」について放送内容からわかる範囲で説明したいと思います。
テレビ画面をそのまま映しているため画像が荒くてすみません。
「アライブ」に出てきた患者会「やどりぎの会」についてチラシからわかること
以下チラシの文言をそのまま書きました。※テレビ画面から読み取っているため、字が小さくて見えなかった箇所がいくつかあります。そのため数か所は情報が抜けていることをご了承ください。
患者さんとご家族のための
やどりぎの会
時間 毎回14:00~
場所 横浜聖アーク教会 聖堂
治療中の患者さんやそのご家族が交流ができ、ホッと一息つける場所として、「やどりぎの会」を開設しました。治療や療養に必要な情報を集めたり、悩みや不安を話したり、気軽な会話を楽しむ憩いの場です。
開催予定 12/18(水)抗がん剤治療との付き合い方
副作用・ストレスについて
12/25(水)がんの再発予防法
全身療法を学ぼう
1/8(水)意識障害とその家族
QOLの向上
1/15(水)家族ができるリハビリテーション
変化を感じ取る
1/22(水)本当に意識は戻らない?
◎患者さんとそのご家族は男女問わずどなたでもご参加いただけます。
◎参加費無料です。
◎申し込み不要。直接会場にお越しください。
途中からの参加・退席も自由です。
◎当日は専門の相談員が参加しております。参加された方のおもな感想
「おもいきって参加してよかった。」
————–ここまで—————
※ここからは文字が読み取れなかったため書けていません。
大切なご家族がなんらかの原因で意識障害に陥っている状況というのは、この先どうなるかわからないという不安と、回復してほしいという期待や願い、あるいは介護をするのに心身ともに疲れ果ててしまったという疲労、自責の念など、人によって、状況によって感じることは異なります。過酷な状況の中、もう覚悟しなければならないと思う人、きっと良くなると信じたい人、さまざまです。
一人で重荷を抱えるのではなく、同じような状況の人が集まり、語り合うことで生きていく力につながります。
「やどりぎの会」は意識障害の家族を持つ方という共通の背景がある人達が集まりますが、チラシを見てわかるように毎回テーマが設けられています。
このように話すテーマを限定する会もあります。
私が関わったことのある遺族会の分かち合いではテーマを決めることはありませんでした。
チラシを見ると12月はがん患者を対象に、1月は意識障害の家族がいる方対象になっています。
チラシとドラマの内容から考えられるのは、
- 週または月によって対象者を変えている
- 意識障害の家族のいる方対象の分かち合いは以前にも開催されていて、1月8日は数回目とみられる。このことは参加者の大半はリピーターということから読み取れる
この患者会は少なくとも2種類の状況の異なる患者さん・ご家族を対象にしているということがわかります。
これが例えば「がん患者さん」限定であれば、12月に参加した患者さんが、引き続き1月にも参加する可能性がありますね。しかしこの会は12月と1月でテーマが違うので、12月に参加した方は1月に来ることはないのですね。重複した状況を抱えている場合を除いて。
開催頻度
考えられる可能性は
- 週に1回
- 月に2,3回
どちらかでしょう。このような会は月に1回という所が多く、数か月に1回の所もあります。12月と1月で対象者が異なるとはいえ、1月に参加した意識障害の家族がいる方たちは、おそらく11月か12月の上旬に参加したのではないでしょうか。
となると1月8日から逆算した1か月から1か月半ぶりの参加ということになりますね。
しかしこれは私の勝手な想像なので、異なる可能性も十分にあります。対象となるのが上記以外にも、「難病をを患っている患者・家族」「四肢を切断した人」など他にもあるかもしれません。そうなるとどれくらいの頻度で当事者同士が顔を合わせているのかはわからないということになります。
やどりぎの会。スタッフは4名。参加者12名
分かち合いではこのように車座になって話したり、机と椅子をロの字にして話す場合もあります。参加者同士がお互いの顔を見られるようこのような形で会が進められます。
スタッフ①がファシリテーターです。簡単にいうと司会担当です。
スタッフ②とスタッフ③は参加者たちの後ろに座っています。スタッフ③は木村佳乃さん演じる「梶山薫」。本職は外科医ですがやどりぎの会にはボランティアスタッフとして参加しているというセリフがありました。
スタッフ②とスタッフ③の役割は
会場設営や茶菓子の用意
分かち合いの外から参加者を見守り、必要な場合はフォローに回るなど
スタッフ④は受付です。
参加者に名前や連絡先など必要事項を記入してもらいます。参加費が必要な会の場合は受付で支払います。やどりぎの会は参加費無料でした。
患者会や遺族会は女性のスタッフが多くなる傾向があります。このように男性スタッフもいることで、男性の当事者も参加しやすいのではないでしょうか。
参加者は12名
女性7名、男性5名です。
年齢層はおそらく30代(20代もいる?)から70代とみられる方が参加しています。
どのようなグループかにもよりますが、私の体験では男性の参加者はもっと少ないように思います。
男性は辛いことがあっても自分の内にとどめておくという傾向が強く、また感情が大きく揺れることが仕事に影響するのではないかという心配もあってのことでしょう。またこういった会に参加するという発想すらないというのが通常ではないでしょうか。
しかし、このドラマでは12名中5名が男性ということで、番組を見た男性にとっても、「こういった会があるのだな。男性も普通に参加できるものなのだな」と知ってもらうことができると思いました。
やどりぎの会の会場は教会
チラシ内に聖アーク教会 聖堂 とあります。
やどりぎの会は「患者会」という設定です。
病院内や市民センターなどの公共施設で開催されている「患者会」や「遺族会」もあれば
お寺や教会で行われる「患者会」「遺族会」もあります。
場所が教会やお寺という宗教的な空間であっても、宗教に入ることを勧誘されることはありません。(まともなところが開催している場合、勧誘することはありません。)
そして信仰の有無も問われません。仏教徒であってもキリスト教の教会で開催されている分かち合いに参加できますし、逆にキリスト教徒であってもお寺が開催する分かち合いに参加できます。無宗教であっても同じです。
教会やお寺が持つ日常生活とは異なる澄んだ空気から安らぎや癒しを感じる方も多いのではないでしょうか。「場所によっても癒される」のが可能なのですね。
参加者の背景
ドラマの場面は「1月8日(水)意識障害とその家族」の分かち合いです。
病気や事故を問わず、家族が植物状態など意識障害を抱えている方の集まりです。12名の参加者中、主人公の恩田心含めて6名が話すシーンがありました。それぞれの背景は
参加者①女性:夫が脳梗塞でずっと寝たきりの生活が続いている。
参加者②男性:お母さんが寝たきり。
参加者③女性:現在妊娠中。妊娠初期に夫が倒れる。
参加者④男性:奥さんが意識障害。
参加者⑤女性:シングルマザー。娘さんが意識障害。
こういった分かち合いでは、自分の話したいことを話せる範囲で話します。そして聴く側は話し手の気持ちを否定せずに聴きます。
ドラマの画像を見てみます。
参加者たちの表情に注目してください。
過酷な状況の中にみつけた小さな喜びなど、嬉しい気持ちを吐露する人もいます。参加者たちがその気持ちに寄り添っている様子です。
そして主人公である恩田心が話すシーンです。
ファシリテーター:「では恩田さん。今回初めていらっしゃいましたけど、お話してくれますか?」
→初めての参加という場合、このように他の人が話してから順番が回ってきます。
ドラマのネタバレになってしまいますが、このシーン、主人公の恩田心が違和感を感じ、飛び出して帰ってしまうのです。
経験上思ったことですが、このような場合スタッフ②スタッフ③のどちらかが即座に追いかけてフォローするのが普通ではないかと。
他の人の話を聴いて、思わぬところで感情が揺れてしんどくなる人はたまにいらっしゃいます。そういった場合、その場で一番激しい辛い感情を抱いているのはその人なのです。
家族の状況を比べてどちらが辛いという意味ではなく、気持ち・感情のレベルです。
一番支えが必要な人が支えられてないのですね。ドラマなので仕方ないですが、普通こういった場合はスタッフが追いかけて個別で対応するかと思います(ドラマの展開で結果的にはそうなったのですが。飛び出した直後に普通は追いかけます。)。
このシーン、主人公の感情が揺れる重要な場面でもあったのですが、今回はその内容に深く触れることはしません。
ストーリーをご覧になりたい方はこちらフジテレビの公式サイトよりどうぞ。
患者会や遺族会はいったいどんなところなのか知りたいという方に向けて書いてみました。
読んでくださりありがとうございました。