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支える側が支えられるとき 藤川幸之助さん

認知症ケア。藤川幸之助。支える側が支えられるとき。スピリチュアルケア

藤川幸之助さんの詩(子どもが学校で配られたチラシに載ってあったもの)

 

「扉」

 

認知症の母を

 

老人ホームに入れた。

 

認知症の老人たちの中で

 

静かに座って私を見つめる母が

 

涙の向こう側にぼんやりみえた。

 

私が帰ろうとすると

 

何も分かるはずもない母が

 

私の手をぎゅっとつかんだ。

 

そしてどこまでもどこまでも

 

私も後をついてきた。

 

私がホームから帰ってしまうと

 

私が出ていった重い扉の前に

 

母はぴったりとくっついて

 

ずっとその扉を見つめているんだ

 

と聞いた。

 

それでも

 

母を老人ホームに入れたまま

 

私は帰る。

 

母にとっては重い重い扉を

 

私はひょいと開けて

 

また今日も帰る。

 

 

藤川幸之助さんの講演会

 

「支える側が支えられるとき~認知症の母が教えてくれたこと~」

 

を聴きにいった。

 

この講演会を知ったのは

 

子どもが学校からもらってきた

 

人権週間 平和と人権のつどい

 

のチラシがきっかけだ。

 

人権についての講演だったのだが、

 

まさに今学んでいるスピリチュアルケアそのものだった。

 

藤川幸之助web
藤川さんのプロフィールを抜粋

 

1962年生まれ。長崎大学教育学部大学院修士課程修了。

 

日本児童文学者協会会員

 

元小学校教員

 

認知症の母に寄り添いながら、命や認知症を題材に作品を作り続ける。

 

全国各地で、認知症への理解を深めるため講演活動中。

 

著書をもとにNBC長崎放送が製作したラジオ番組

 

「マザー・詩人藤川幸之助が綴った母との瞬間」が

 

2004年度民間放送連盟賞最優秀賞受賞、文化庁芸術祭参加作品となる。

 

 

チラシに載っている顔写真やプロフィールから、

 

静かで穏やかな方という印象だったのだが、

 

実際の藤川さんは情熱的で優しく、

 

エネルギーに満ち溢れたユーモアたっぷりの人という印象に変わった。

 

 

講演会では本当にたくさんのことをお話くださり、

 

自身が作った詩の朗読、

 

笑いあり、涙あり、感動ありのすばらしいものだった。

 

 

本やネットで情報を得ることも大事だが、

 

ライブでは講演者のエネルギーが

 

生で感じられて本当にいい体験をした。

 

 

藤川さんのお母様が

 

アルツハイマー型認知症を患ったのは60歳の時。

 

今年の9月、84歳で亡くなるまで

 

24年間の介護で学んだことをお話くださった。

 

まだ認知症が初期の段階では、

 

藤川さんはお母様のことを理解できず、

 

苛立ち、「うるさい!黙っとけ!しゃべるな!」と

 

頭ごなしに押さえつけたそうだ。

 

 

お母様の気持ちは無視して

 

自分の都合で「奇行」をやめさせてばかりいた。

 

しかし徐々に藤川さんの態度も変わっていくようになる。

 

「徘徊」についても、

 

やめさせるのではなく、

 

笑うのではなく

 

母の頭の中に広がる世界を

 

理解し読み解こうとすることが大事。

 

 

・なぜ母は徘徊していたか?
・母の頭の中の世界につきあう

 

 

ある日お母様が突然家からいなくなり、一日中探した。

 

やっとのことで発見するが、

 

その場所はお父様とよく行っていたストアの裏だったそうだ。

 

藤川さんのお父様である

 

大好きな自分の夫との思い出の場所に行っていたのだ。

 

旦那さんを探して。

 

お父様は生前自分の心臓も患いながら

 

懸命にお母様の世話を行っていたそうだ。

 

 

お父様が「おかあさ~~~ん。」と笑みを浮かべ、

 

優しいまなざしを向けると、

 

普段は何もわからず言葉も発しないお母様が抱きついたそうだ。

 

 

言葉がなくてもお父様が優しいまなざしを向けるとそ

 

うやって抱きついてきたとのこと。

 

 

お父様が亡くなった後、

 

同じように藤川さんがやっても無反応。

 

一日に何度も笑みを浮かべて

 

「おかあさ~~~ん。」とやっても

 

何日も同じく反応がない。

 

 

ところが、40日目くらいにやっと反応があり、

 

「はい、はい、はい。」とお母様が藤川さんの手を握ったそうだ。

 

お父様とは違うということを理解しているらしい。

 

 

アルツハイマーになると

 

物事を理解する能力は衰えるが

 

「感じる」ことは可能なのではないか。

 

「感じる」ことが残っている人間に向かい合うとき、

 

こちら側も「感じる」こと。

 

 

藤川さんはお母様が認知症を患ったからこそ、

 

自分が支えられているとおっしゃった。

 

 

自分が弱者である母を支えているつもりだったが、

 

実は支えられているのは自分だったと。

 

 

一人の人間の後ろに広がっている人生。

 

どんな思いで支えている人がいるか。

 

一人の人間をイメージ深く見る。

 

認知症という病気が私と父と母との絆を結び直してくれた。

 

 

病気は治すということを考えるが

 

病気と共に生きることで人は人生を深く生きることができるとも。

 

 

人は生きて存在するだけで大きな意味を持っている。

 

 

藤川さんは奥様も乳がんで亡くしている。

 

書籍や講演会の情報もあります。

 

藤川幸之助さんのホームページ「藤川幸之助web

2012年執筆記事

 

 

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