このページでは、スピリチュアルケアやグリーフケア、臨床宗教師といった、欧米のチャプレンをモデルとした「スピリチュアルケア専門職」として必要な資質を得るための訓練の道筋を説明します。
ここで説明するのは心理面、内面でどのようにビリーフから解放されていくのかということについてです。
どの施設やどの学校で学べばいいか、資格を取るには何をどれだけ学び、必要な実習時間や現実面のことや具体的なことはまた別の機会にしたいと思います。
ケア提供者の訓練の道筋 聴く力と資質の向上
【基本】聴く態度、聴く姿勢を常に意識
人の話を聴くのがまず基本です。まずは相手が一体何を伝えたいのかということに感性を研ぎ澄ませて聴くことから始まります。
「それが難しいんだよ」と感じるでしょうが、実際に聴いてみないとそこから先が進みません。
実際にやりとりをしてみて初めて発見するということがあります。
ロールプレイやグループワークなど体験型の学びを通して、、余計な口をはさんだりあくびをしたりせず、まずは聴くということに集中します。
そして同時進行でそのやり取り、心の揺れ、コミュニケーションパターンなど自身の内面を見つめます。
1.自分の抱えているビリーフに気づく
2.ビリーフを解放する
3.1と2を繰り返し、自分という枠から徐々自由になっていく
人の話を聴くためにはまずは自分の話を聴いてあげる
ロールプレイやグループワークでは、他者の話を聴く、対話をするということを通して、
ケアをし、ケアをされる場でもあります。
このような体験型の学びは「今ここ」でどう相手に関わるかが問われます。
その「今ここ」での関わりの中に、無意識レベルで抱えている「ビリーフ」が現れます。
「今ここ」で目の前の相手に心を開いて対応することができればそれがケアにつながるのですが、
何か違和感のある対応をしてしまったり、意図せずに傷つけるようなふるまいをしてしまう・・・。
つまり、「今ここ」での関わりの中にゆがみや不健全なものが含まれているのがわかる。
そうするとその不健全なものはどこから来たのか見つめることになるのですが、
多くは育ってきた生育歴の中で、自分の中に取り込んだものの影響ということがわかってきます。
1.ビリーフに気づく
①コミュニケーションパターンからあぶりだす。今ここの関わりでのゆがみの原因を見つめる。
②自身の生きづらさや心残りの出来事など生育歴からあぶりだす。
2.ビリーフを解放する
今ここの関わりや、今現在の生きづらさに影響している出来事を感情的に再体験し、心の中でその出来事をちゃんと完了させる。
生育歴を聴いてもらうなどのことを通して、じっくりと話を聴いてもらうこと、その過程で自身の心を深く掘り下げ自分で気づきを得られたり、他者に受け止めてもらうことで解放されていきます。
3.1と2を繰り返し、自分という枠から自由になっていく
自分の本当の声、自分自身の本心本音を聴けることがまず大事です。
自分の感性に敏感なり、自分を受け入れる度合いに応じて
他者の話もありのまま聴けるようになります。
自己受容と他者受容は比例します。
「傾聴」だからといって表面的な態度のみ、テクニック的なことのみを整えても
苦悩を抱えていたり過酷な状況の人の感性は鋭いので見破られてしまいます。
自分ではもうどうすることもできない、どうすればいいかわからないという人の話を聴くのです。
テクニックで対応しようとするのはあまりにも失礼です。
テクニックや技法は「道具として」あればとても役に立ちますが、その前に「あり方」です。
上記で説明した1、2、3、のステップは終わりがなく、
その都度過去の傷に向き合うことになりますし、自分も痛い思いをしながら学ぶということです。
そして痛い思いはするものの、自分自身を受け止めてもらうという体験をし、
自己受容が進みます。
自由度も増しますし、自己受容・他者受容が進み
自分の器というか枠も広がり、以前の自分では対応できなかった事例などにも対応できる力がついてきます。
ケア提供者の聴く資質の向上ということを書いておりますが、
これはケア提供者でなくてもビリーフを解放するということをやっていると
自然と人の話がありのままに聴けるようになってくるというわけです。
自分という個を縛り付けていたビリーフから解放されるということは
よりとらわれが少なくなったということであり、
他者にとってどう振舞えば一番いいのかが頭であれこれ考えずとも
自然に思いやりの持った行為としてできてしまうようになります。
ビリーフに気づき、それを解放する方法についてはまた別の機会に説明します。
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