認知症のケアで参考にしているユマニチュード。
スピリチュアルケアと非常に近いです。
ケアの場でよく言われるのが、ケア提供者は一方的に与えているのではなく、同時に相手からも癒されているということ。
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「ケア」が成り立つのは双方にとって癒しが起きる時。
看護師や介護士、教師やカウンセラーなど、相手に何かを与える、してあげるというイメージが強いですね。
しかし、「仕事を通じて癒された」「学ばせてもらった」「やっていて良かったと思った」「やりがいを感じる」などと思えた場合は、相手からも実は何かを受け取っています。
自分ばかりが「してあげている」という精神で関わっていると、それは自己犠牲の気持ちですからだんだんしんどくなってきます。
しかし「相手からも受け取っていいんだ」と思えると、いかに多くのものを相手が与えてくれているかが見えてきますし、喜びを感じながら関わることができますね。
全世界の看護師に共通しているのは、「この仕事に身を捧げている」という姿勢です。
しかしながら、それは一方的に相手に与え続けることでもあります。その結果待ち受けているのはバーンアウト(燃え尽き)です。自分のエネルギーがなくなってしまった状態です。私はよく看護師にこう聞きます。
「あなたは相手から何を受け取っていますか?」
自分の感情を現わしてはいけない。愛情を表現するだけの距離に近づいてはいけない。それでは相手からも何も受け取れません。
ケアの場において私にエネルギーを与えるものは何かといえば、それはケアを行う相手から受け取る反応です。その反応が前向きなもの、好意や優しさを示すものであれば、それはケアを行うエネルギーとして私に蓄えられます。
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「ユマニチュード」より。
赤ちゃんとの関係を考えてみればわかりやすいかもしれません。
赤ちゃんのお世話は思い通りにいかないことも多く、大変に感じることも多いですが、癒されたり喜びを感じることもとても多いです。
ベッドの上の赤ちゃんが自分に向かって笑ってくれたらほとんどの人がその可愛さに心癒されるでしょう。
赤ちゃんは究極の「素」「ありのまま」ですね。
子どもを育てるには心の面はもちろん物理的な衣食住を整えたり経済的な努力も必要だったりと、心身ともに相当のエネルギーがいりますから、赤ちゃんから可愛い「癒し」のエネルギーを受け取ることは自然の理にかなっているようにも思います。
介護の場では高齢の方から「ありがとう」と感謝をされることも多いです。
しかし中には「世話をかけるのが申し訳ない」というふうにおっしゃる方もいます。
ケアをする側が「してあげている」、ケアを受ける側が「してもらう」という考えの方は多いです。
ケアをする側も相手からたくさん受け取っているのですよ、喜んでやっていることなのですよ、とお伝えすることもあります。
そしてケアに関わる際に大切なのが「かわいそうな人」という見方をしないこと。
出来ないことが多く、支えが必要ではあるけれど、大変なだけであってかわいそうではありません。
かわいそうという見方をすると、上下関係ができてしまい、結局自己犠牲的な関わりに繋がったり、姿を目にするのが辛くなって関わりを避けることにもつながります。
「受け取る」というのは相手を自立した人間として同じ目線でとらえることでもあるのではないでしょうか。
確かに毎回毎回「受け取ることができる」とは限らず、誰かの介護をしていると別の方が危険なことをしようとしていたりと目が離せないので大変なことも多いのですが・・・。
それでも「ありがとう」のちょっとした一言や、笑顔、言葉でのやりとりが難しいけど身体を動かして反応してくれる人とか、本当に些細なことですが、ちょっとでも「通じあえた」瞬間が嬉しく感じます。
今日もお読みくださりありがとうございました。